ビジネス

マンションより戸建てを買うほうが安いのか 大都市圏でも起こる住宅選びの新基準

コロナ禍でもミニ戸建てが売れている(写真はイメージ)

都心でもミニ戸建てが爆発的に売れている(写真はイメージ)

 長引くコロナ禍で戸建て人気が続いている。これまで「都心・駅近・新築マンション」といったワードが住宅選びの関心事だったが、いまや通勤の利便性は二の次。「中古でもいいから郊外に広い一軒家が欲しい」といった若い世代も増えているという。果たしてこのライフスタイルの変化は根付くのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。

 * * *
 住宅ジャーナリズムの世界に身を置いていると、答えを求められる神学論争的な課題がいくつかある。代表的なものは「分譲vs賃貸」だが、次に多いのが「マンションvs戸建て」である。こういった比較で、どちらが良いのかについて常に問われるのである。

 結論を言ってしまうと、一概に「どちらが…」ということはできない。多くの場合はケースバイケースである。こういった問題に断定的な答えを出しているケースは、ほぼ恣意的な印象操作である。

 答えはないのだ。住む人の価値観の問題である。各自、納得できるほうを選べばよいと思う。ただし、一面の価値観から引き出す答えはある。私の場合は資産価値の優劣で判断している。かみ砕いて言えば、経済的に「得か、損か?」ということだ。

 借りるよりも購入したほうが安くなるのか。あるいはコストパフォーマンスで判断すればマンションよりも戸建てが優れているか、という視点でなら結論が導ける。

郊外の格安中古戸建てが売れている

 新型コロナの感染拡大は、住宅業界にもちょっとした変化をもたらした。首都圏の住宅マーケットで明解にいえることは、戸建て需要の盛り上がりである。

 都心エリアを中心にミニ戸建てを主に開発供給する某大手企業の物件は、売れに売れているという。開発する先から売れてしまうので、売り物件が大幅に不足しているらしい。さもありなん、という事態である。

 郊外の格安中古戸建てもよく売れている。

 木造一戸建てというのは、築22年前後で建物評価がゼロとなる。こういう築古物件が売り出されても、価格は土地だけの評価で決まる。あるいは、取り壊し費用を差し引いた価格になる。だからかなりの格安になる物件も多い。都心へ実質1時間ほどで通勤できるエリアなら、1000万円前後で築古の戸建て住宅が購入できる。そういう物件もコロナ禍で結構買い手がついた。

 こういった特需には独特の特徴がある。あまり高くなると、買い手がつかなくなるのだ。格安の物件を求める人はエリアを選ばない。埼玉でも千葉でも、条件に合った物件を探す。だから「隣の物件が1000万円ですぐに売れたから、ここは1500万円で」と考えて売り出しても、そう簡単には買い手がつかないのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン