芸能

優等生の殻を破った芳根京子 『半径5メートル』や『コントが始まる』でも証明

芳根京子

作品ごとに新たな魅力を見せる芳根京子

 役を演じる仕事の難しさは本人しかわからない部分もあるだろうが、役者のキャリアにおいて明らかなターニングポイントとなる作品があるのも事実。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 幕を閉じたNHK朝ドラ『おちょやん』。といえば即「杉咲花」という名が浮かぶくらい、主役の演技は凄い存在感を放っていました。朝ドラは「国民的」と言われるだけあって、主人公を演じるとなれば名前も広く認知されるし演技も記憶に刻まれる。……はずですが、朝ドラの過去作を振り返るとなんとも押しが弱い、影の薄いヒロインも。

 いわば杉咲花さんのインパクトとは正反対の、ちょっとはかないイメージ。5年前の朝ドラ『べっぴんさん』の主人公・坂東すみれの口グセは「なんか……なんかなー」。まさにその口グセが象徴するようなキャラクターで自分の考えや思いを言葉にすることが苦手。物語のモデルは子ども服メーカー・ファミリア創業者の坂野惇子、女性経営者のパイオニアとも言える偉業を成し遂げたリーダーだというのに。ドラマの中の主人公すみれは頼りなさげでセリフも多くはなく、道を踏みはずさず常にみんなの意見を聞く。「決して先頭に立ってリードするような女性ではない」(NHK制作統括)と制作側が語るような人物でした。

 その「すみれ」を演じたのが19歳の芳根京子さん。

 ところがどうでしょう? 当初背が小さく色白でおとなしそうで、子ウサギかバンビのような印象でしたが、朝ドラ主演後、数々のドラマに登場し演じるたび、見るたびに、グングンと存在感が増していく。かつての芳根さんとはまた別の、新しい芳根さんを発見するような喜びを感じるのです。

 例えば放送中のドラマ『半径5メートル』(NHK総合金曜午後10時)で、女性週刊誌の編集者・前田風未香を演じている芳根さん。風未香は芸能ゴシップ班で失態を演じ生活情報班に異動した。取材仕事に熱中する分、女子的要素は少なくて、テンパった時は口が悪くなりバサっと相手を斬る痛快さもある。活き活きと輝いていて芯の強さも伝わってくる。

 同じ編集部で働くフリー記者・山辺(毎熊克哉)との微妙な距離感も上手く演じています。山辺の気持ちを量りかねて迷う風未香。いよいよ距離が縮まり、ベッドを共にした夜から朝にかけての描写も、妙な嫌らしさはなく、心がほっこりしつつ軽やかでリアル。飾らないすがすがしさも伝わってきて、つい芳根さんの自然体の演技に目が惹き付けられてしまいます。

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)
高市総裁取材前「支持率下げてやる」発言騒動 報道現場からは「背筋がゾッとした」「ネット配信中だと周囲に配慮できなかったのか」日テレ対応への不満も
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
「父と母はとても仲が良かったんです」と話す祐子さん。写真は元気な頃の両親
《母親がマルチ商法に3000万》娘が借金525万円を立て替えても解けなかった“洗脳”の恐ろしさ、母は「アンタはバカだ、早死にするよ」と言い放った
NEWSポストセブン
来日中国人のなかには「違法買春」に興じる動きも(イメージ)
《中国人観光客による“違法買春”の実態》民泊で派遣型サービスを受ける事例多数 中国人専用店在籍女性は「チップの気前が良い。これからも続けたい」
週刊ポスト
競泳コメンテーターとして活躍する岩崎恭子
《五輪の競泳中継から消えた元金メダリスト》岩崎恭子“金髪カツラ”不倫報道でNHKでの仕事が激減も見えてきた「復活の兆し」
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン