交流戦負け越しでもリーグ優勝
交流戦がスタートした当初、セ・リーグとパ・リーグの差は拮抗していた。2005年はセ104勝パ105勝、2006年はセ107勝パ108勝とわずか1勝差でパが勝ち越し。2009年に初めてセが70勝でパの67勝を上回ったが、以降は10年連続でパが勝ち越している。
「初めの頃はセとパの交流戦順位にバラ付きがあり、リーグ戦に大きく影響していた。しかし、2010年はパ・リーグが6位までを独占。セ・リーグ1位の巨人は勝率5割のため、借金2の中日と差がつかなかった。2015年はパ・リーグで負け越したのはオリックスだけ。セ・リーグ1位の阪神は貯金2つに留まったため、借金1のヤクルトは遅れを取らずに済んだ。2018年はヤクルトがパ・リーグを差し置いて交流戦1位になったが、借金4と苦しんだ広島がリーグ戦再開後に立て直し、3連覇を果たした」
交流戦でセ・リーグ1位になったチームのペナント制覇は15度中9度。2位以上に対象を拡げると、15度中12度と8割の確率で優勝を遂げている。ただ、18試合制になった2015年以降は、前述のヤクルト、広島と負け越したチームが2度も優勝している。悲しい現実として、セ・リーグの中で交流戦の影響は少なくなっている。
「現在リーグ首位の阪神は、交流戦を5割で乗り切れば、16年ぶりのリーグ優勝が現実味を帯びてくるでしょう。逆に、4.5ゲーム差を付けられて2位の巨人は坂本勇人、菅野智之、梶谷隆幸など主力を故障で欠いており、厳しい戦いが強いられますが、なんとしても勝ち越して、阪神との差を詰めたい」
巨人は過去8度、交流戦で勝ち越している。そのうち、2005年を除く7度でリーグ優勝という縁起の良いジンクスもある。阪神は過去6度の勝ち越し。該当年は全てAクラスに入っている。
「戦う前からセ・リーグの劣勢が予想され、負け越しでも優勝できるというデータは寂しい。セ・リーグのチームが交流戦で大きく勝ち越して、かき回してほしい。現実的には、過去10年日本シリーズでセ・リーグは1度しか日本一になっていないし、今年も厳しい戦いになるとは思いますが……」
5割とは言わず、セ・リーグには2009年以来の勝ち越しを目指して奮起を期待したい。