1年前に猛批判を受けたあと、ほぼ沈黙の期間があり、1月の反応も上々だったことが、現在の出演ラッシュと好意的な反応につながっているのでしょう。もともとバラエティ制作サイドの山田さんに対する期待値は高く、「出るからには思い切り楽しんでくれる」「リアクションが面白い」「何かやってくれそうなオーラがある」などと見られていました。
一方、実際にバラエティ出演している山田さんを見た視聴者も、気取ることなく無邪気に楽しむ姿を見て笑いを誘われてしまうのです。『日曜日の初耳学』にスタジオゲストとして出演し、山田さんのインタビューを聞いた同じ俳優の矢田亜希子さんが、「ここまで本音で話せる役者さんはいないと思います」と驚いていました。このコメントは、山田さんが番宣出演の俳優にありがちな引いたスタンスを取らず、しっかり向き合って楽しもうとしていることを物語っています。
今後はテレビ出演そのものが減るか
ただこれは多くの人々が山田さんの本業である俳優としての凄さを知っているからこそ。「あれだけ演技がうまいのだから、これくらいのことはまあいいか」「嫌いになりかけたけど、見るとやっぱり凄い」という気持ちがあるから、バラエティを全力で楽しむ姿が面白く見えるのです。
6月、山田さんは主演映画『はるヲうるひと』が公開され、主演ドラマ『全裸監督2』(Netflix)が配信。表現の自主規制やスポンサーへの配慮などの制約が少なく、クオリティ・ファーストで勝負できるコンテンツに俳優として対峙しているからこそ、バラエティを楽しむ姿が魅力的に映るのではないでしょうか。
山田さんは「1年前の騒動があってもけっきょく気になってしまう」「見たらやっぱり笑ってしまう」というキャラクターであり、だから多少の懸念はあったとしても、テレビマンはバラエティに出てもらいたいし、視聴者はそれを見たいと思うのでしょう。今年以降、俳優業のペースを落としていくことを明言しているだけに、バラエティで見せる姿は、より貴重なものになっていきそうです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。