もちろん、各病院によって違いはあるし、あくまで彼女の病院の方針でしかない。逆に満床の上でさらにプレハブ小屋で対応する病院もある。ただいずれにせよ、現場の方々は自分たちの命も顧みずコロナ禍の医療に立ち向かっていることは事実だ。
それなのに政府と東京都は、受け入れなければ病院名を晒すと脅している。筆者が恐れていた為政者による「悪者」晒しと魔女狩りはライブハウスからパチンコ屋、夜の街、旅行業者、居酒屋、若者からついに医療機関となった。オリンピック・パラリンピックはパーティーまで開かれ、バッハ会長は銀ブラを許され、自民党の二階俊博幹事長らの会食は四人以上でも別枠――政府の敵はコロナでなく一般国民ではと思わされる。
それにしても、まさか医療機関を悪者にするとは思わなかった。正気の沙汰ではない。とくに医師会が悪い、開業医が悪いと。前者はともかく、後者は大衆の一部による日ごろのやっかみや妬みを鑑みれば新たな悪人にうってつけ、下衆なやり口だなあと思う。
あのブルーインパルス、なんだったんですかね
「未知のウイルスですし、デルタ株に至ってはお子さんにも感染します。よくわからないのは当然です。でも、せめて東京都は本格的なコロナ専用病院を作れなかったのか、もう(コロナ禍は)1年半ですよ」
コロナ専用病院、東京都は府中市に一応作った。しかしそれは旧都立府中療育センターを改築した付け焼き刃の施設で人員の確保もままならない。
「あれ、たった100床ですよ。結局は都立の一部を専用病床にしただけじゃないですか。人だって集まっていないでしょう」
あきれた様子で声の裏返る看護師さん。もっともな話で、中国などは工期10日で1000床の病院を作り、さらに他にも1000床規模の病院を次々に作りまくった。人民解放軍含め数万人規模で医療関係者も動員された。国体の違いはあるだろうが、全体主義体制の国はこういうとき強い。
「(中国みたいな)あんな国は嫌ですけど、非常事態宣言中なのに好き勝手している人たちはなんとかして欲しいです。」
一般国民はすっかり非常事態宣言に慣れっこ、夏休み中もあちこち賑わい不要不急を繰り返している。それはよくないことかもしれないが、それぞれに事情が、人生がある。ましてやオリンピックの体たらく、誰も言うことを聞くまい。