スポーツ

テレビが伝える「パラリンピック」 “感動の押し売り”は減ったのか

陸上男子5000m(T11)で銀メダルを獲得した唐澤剣也選手とガイドランナーの2人(時事通信フォト)

陸上男子5000m(T11)で銀メダルを獲得した唐澤剣也選手とガイドランナーの2人(時事通信フォト)

 8月24日の開幕以来、熱戦の様子が報じられるパラリンピック東京大会。競技結果やパラスポーツを解説する報道のほか、各局ではパラアスリートの「人となり」や知られざる競技人生、競技者の障害にスポットを当てた情報・バラエティ番組も多く放送されている。メディア研究が専門のジャーナリスト・水島宏明氏(上智大学文学部新聞学科教授)が、民放の情報・バラエティ2番組を通して、パラリンピックの扱われ方の変化を検証する。

 * * *
 五輪に続いてパラリンピックが東京で行われ、NHKを中心に中継で連日放送されている。地球上には様々な障害を抱えた人たちが存在し、それぞれがスポーツに取り組んでいる。パラリンピックの目的を一言で言えば「共生社会の実現を促進すること」だが、障害をもった人たちの姿が、テレビでこれほどの分量で一度に可視化されたことは日本ではなかった。

 2012年のロンドン・パラリンピックではBBCなど放送局がさまざまな番組で「共生」を意識させる演出を試み、たとえばドラマの中に何気なく通行人として出てくる人にも車イスの障害者がごくあたりまえのように登場するような配慮をしたという。自国開催のパラリンピックは放送局にとっても「共生」の放送に転じるきっかけになる可能性を秘めている。

 地上波やBSを中心にして競技を中継放送するNHKが、その他の時間帯にもパラリンピック関連番組を放送するのは公共放送としてある意味では当然と言える。しかし、民間放送の番組、それもニュース番組だけでなく、情報番組や娯楽番組もパラリンピックの「共生」の理念を取り上げ始めている。

 しかも『24時間テレビ』(日本テレビ系)などでたびたび批判された、「障害者」と「感動」を安直に結びつける“感動の押し売り”、いわゆる“感動ポルノ”的な扱いではなく、「アスリートとしてのすごさ」に着目する番組も出てきている。テレビ番組の全部にはまだほど遠いが、少しずつでも実現されつつあるなら貴重な一歩といえる。

 2016年に障害者を“感動ポルノ”として扱う描き方・風潮を批判して話題になったNHK Eテレ『バリバラ』は、8月19日にそのシーンを再編集して放送した。そのときは『24時間テレビ』にも登場した実在の難病患者を題材に“感動ポルノ”の番組制作のパターンを示している。「感動へのステップ」として(1)大変な日常、(2)過去の栄光、(3)悲劇、(4)仲間の支え、(5)いつでもポジティブ、という5つのパターンで感動的な物語に美化していくと分析した。盛り上げる音楽や本人の心の中を(本人の心の内とは違う形で)語るベタベタしたナレーションが入る。

 このパターンを悪い例として意識しながら、日曜日に民放で放送された情報番組と娯楽番組をチェックしてみた。

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン