釣り仲間に愛用の道具を手渡し
一方、辰夫さんの思い入れが強かったのが、趣味の釣り道具だ。
「洋服は自分で買わなくても、釣り道具は自分で買う。釣る魚によって使う道具も変わるので、本当にたくさんあった。釣る魚よりも道具の方がはるかに高くて、金額にしたらものすごいことになっていたと思う。
大切にしていたものだから、大切に残してあげたいけど、私たちは釣りをしないし、持っていてもしょうがない。だから、主人が所属していた北九州のフィッシングクラブのかたたちに譲りました」
辰夫さんが亡くなったのは2019年12月12日。そのわずか10日後、アンナとマネジャーと一緒に3人で東京から1000㎞もの道のりを車で移動。100万円クラスのリールや釣り竿など、たくさんの愛用品を辰夫さんの愛車アルファードの荷台いっぱいに詰め込んで持っていったという。アンナはブログ『anna style』で、《父の人生の中で、一番楽しかった事は、間違いなく、船に乗り、魚を追っ掛けることだった事でしょう》と綴っている。
辰夫さんが所有していたクルーザー「番長号」は、闘病生活に入った際に手放し、愛車もすでに手放した。思い入れのあるものだからといって、すべて残していても、使わなければ意味がない。それよりも、大切に使ってくれる人の手に渡った方がいい、とクラウディアさんもアンナも考えている。
「残すものは、レシピノートとほんの少しの愛用品で充分。最後の日々を過ごした真鶴の家も一度は手放そうと考えたものの、リフォームをして住み続けたいと考えています」
【プロフィール】
梅宮クラウディアさん/1944年3月20日、アメリカ生まれ。父はドイツ系アメリカ人、母はスペイン系アメリカ人。5才で来日し、16才からファッションモデルに。1972年、28才のとき、梅宮辰夫さん(当時35才)と結婚。家族でテレビ番組に出演することも多かった。2019年に夫と死別後、都内で娘のアンナ(49才)と暮らしている。
取材・文/山下和恵 撮影/浅野剛
※女性セブン2021年10月21日号