国内

現役ヤクザが語るヤクザ映画への不満「あんなにすぐ撃たない」

「仁義なき戦い」などのヤクザ映画は印象深いが、実際は?(写真は菅原文太/共同通信社)

「仁義なき戦い」などのヤクザ映画は印象深いが、実際は?(写真は菅原文太/共同通信社)

 義理と人情を描くヤクザ映画はいつの時代も映画ファンたちを魅了してきたが、本物のヤクザの目にはヤクザ映画はどのように映るのか? ライターの鈴木智彦氏が現役組員100人にアンケートを実施。彼らの見解を問うた。鈴木氏が綴る。

 * * *
【問】「ヤクザ映画はリアルか、マンガか」

・リアル 3人
・あり得ない 58人
・どちらともいえない 32人
・フィクションにその質問は野暮 7人

「マンガ」という表現は関西ヤクザがよく使う。絵空事、空想、フィクション……荒唐無稽や捏造の比喩にもなる。ヤクザ映画がリアルだと答えた現役はごくわずかだった。否定派が圧倒的だった結果をみて、多分にこちらの聞き方が誘導尋問的だったかもしれないと反省した。

 今回はアンケート用紙を渡して回答を集めていない。100人すべてに電話と対面取材を行ない集計している。ヤクザ取材をしている私自身が常々、ヤクザ映画は嘘くさい……正直にいえば観るに堪えないと感じているので、「観てて腹立ちませんか?」「イライラしませんか?」など、反感を前提として質問してしまった。

「あんなにすぐ撃たない」、「組事務所に拳銃は置かない」、「観たら腹が立つだけ」という回答は当事者にすれば当然だろうが、本当に気になっているのか微妙だ。

 とはいえ、ヤクザ映画の全盛期はリアルにこだわりがあった。本物のヤクザを指南役にして、イカサマ博奕を描いたり、現役組員がエキストラとして出演した。映画会社の束縛を逃れ、勝プロダクションを設立した勝新太郎は、『顔役』というヤクザ映画でボンノこと三代目山口組・菅谷政雄に協力を求め、名媒酌人として有名だった義信会・津村和磨に出演を依頼した。一部の俳優をのぞき、盃事の場面に出席しているのは、すべて現役組員だ。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン