国内

「自民党は変わらなければ」森友問題の再調査を提言する石破茂を直撃

選挙応援で各地を回っていた石破氏を直撃した(写真は相澤氏撮影)

選挙応援で各地を回っていた石破氏を直撃した(写真は相澤氏撮影)

 10月31日の衆院総選挙を控え、各地では出馬候補による街頭演説や大物議員による応援遊説が活発化している。自民党が単独過半数を維持できるか微妙という情勢が報じられるなか、安倍晋三元首相や総裁選に出馬した高市早苗氏、河野太郎氏などが各地を飛び回り、総裁選出馬を見送った石破茂元幹事長も、本人のブログによると地元の鳥取1区のほか、北九州市や千葉市、みよし市など全国各地に赴くという。

 そんななか、改めて石破氏の「森友問題は再調査すべき」との発言が注目を集めている。岸田文雄首相は森友学園問題を巡る財務省の決裁文書改ざんの説明に関して、「行政において調査が行なわれ、報告がしっかりなされていると認識している」と再調査に否定的な姿勢を示している。森友問題をスクープしたジャーナリストの相澤冬樹氏は自民党がフタをしようとする疑惑の追及を進言する石破氏の真意を探るべく本人を直撃した。

 * * *

 石破茂が街を歩けば、行きかう人々がさっと目を向ける。

「あっ、石破さんだ!」

 近づいてきて、コロナがあるから握手の代わりにこぶしを合わせるグータッチ。「写真いいですか?」と、スマホで記念にパチリ。「頑張ってください」と励ます。無役になっても人気は変わらない。その様子をそばで見ていて、僕は多少からかうつもりで声をかけた。

「石破さん、すっごい人気がありますねえ」

 すると石破はニコリともせず、厳しい表情で答えた。

「国民に人気があっても、自民党内では人気がない。それが現実です」

 確かにそうだ。石破は9月の総裁選で出馬を断念。小泉進次郎とともに河野太郎を支援し「小石河」連合と呼ばれた。党員票ではトップに立ったが議員票で逆転され敗北。その後の岸田政権では石破も石破派の議員も“干されて”いる。岸田政権の背後に元首相、安倍晋三がいることは誰しもわかる。その安倍が石破を嫌っているから、党内ではみな権力者に嫌われた石破を避ける。

 10月23日、この日の取材は偶然の産物だった。僕は講演の仕事で千葉市に来ていた。講演を終えて「誰か選挙演説に来ていないかな?」と調べると、石破茂が千葉市内で集中して遊説に回っていることがわかった。

「野党が頑張らないと自民党は良くならない」

 石破は自民党総裁選の出馬断念の会見で、森友事件について「再調査すべきだ」と明言した。自民党ではみな安倍の顔色をうかがって再調査に否定的。総理総裁になった岸田も当初は前向きなことを言っていたのに途中で発言をくつがえした。岸田も菅義偉も安倍も、歴代総理はみな「調査は尽くした」と言うが、その調査報告書には公文書改ざんをさせられて赤木俊夫さんという財務省職員が命を絶った事実がまったく書かれていない。それで「調査を尽くした」と言えるのか?

 自民党の大勢が“なかったこと”にしようとしている中、石破の「再調査すべき」の発言は重い。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン