映画の内容が女子大生の恋愛物語である点や、聖子は中井貴一(60才)と、薬師丸は松田優作さん(享年40)とのキスシーンがあり、2人がそれぞれの主題歌を歌うなど、あまりに共通点が多かった。結果を比べられるのは当然だった。
「聖子さんの『プルメリア〜』の興行収入が約20億円だったのに対して、『探偵物語』は倍以上の約51億円でした。主題歌は共にオリコン1位を獲得しましたが、年間チャートでは聖子さんの16位に対して、薬師丸さんは4位と、こちらでも大きな差がつく結果となりました」(映画関係者)
この敗北は、聖子の気持ちを大きく変えたという。
「主演と主題歌という同じ状況で、聖子さんはどちらも薬師丸さんに敵わなかった。これ以降、聖子さんは薬師丸さんの存在を、強く意識するようになったといわれています」(芸能関係者)
それ以前にあった、薬師丸の“ある発言”も結果的に聖子のプライドを逆なですることになった。
「薬師丸さんは、以前から聖子さんのファンだと公言していました。当時、アイドルが同性アイドルの名前を挙げてファンを公言するのは考えられないことでした。薬師丸さんは聖子さんへの羨望を隠さなかった。自分へのあこがれを口にする年下に、芸能活動を脅かされている。そんな状況を聖子さんのプライドが許さなかった」(前出・芸能関係者)
ただ、聖子の“闘争心”は、当時のアイドル業界を考えれば当然だったのかもしれない。
1980年代はアイドル全盛期。歌番組も多く、アイドルが同じステージで切磋琢磨する機会も多かった。聖子と薬師丸も、そんな火花が飛び交う歌番組で共演したことがある。1988年の『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)で、こんなエピソードがある。
「『夜の〜』では、オープニングで出演者がほかのアーティストの曲を歌うメドレーが定番となっていたのですが、そのメドレーで聖子さんは薬師丸さんからマイクを受け取っているんです。その様子を、当時のスタッフは見守っていました。2人の緊張関係は、スタッフも知るところだったのです」(当時を知るテレビ局関係者)
その後、聖子は歌手業に重きを置き、年間4曲前後のハイペースで新曲をリリースしていく。対する薬師丸は女優業の傍ら、マイペースに年間2枚程度のリリースを続けていく。
「女優でも歌手でもトップを走る薬師丸さんに、嫉妬のような感情を抱いていたアイドルも多かったと思います。ただ、薬師丸さんは1985年に角川春樹事務所から独立して以降、独自のポジションを確立し、聖子さんは王道アイドルの道を突き進んでいったので、2人はライバルというよりも、アイドルと女優でそれぞれ唯一無二の存在になっていった印象です」(前出・当時を知るテレビ局関係者)
プライベートでは奇しくも結婚と離婚を共に経験。聖子は1985年に神田正輝(70才)と結婚するも1997年に離婚。その後、1998年に再婚、2012年に再々婚とプライベートでもマスコミを賑わせた。