下町系と山手系
2018年からフリーになり、現在は『news zero』(日本テレビ系)のMCなどで活躍する有働アナは、通算7度にわたって紅白の司会を務めた。
フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏は、有働アナと和久田アナの紅白司会を見比べたうえで、司会力の違いについてこう語る。
「紅白のような番組は進行しながら演者を引き立てるのが司会の役割です。有働アナは自然体で演者を立てつつも自分の色を出すことが上手で、彼女の印象が強烈に残ります。一方の和久田アナは、控えめで押さえるべきところを押さえる。演者が投げるいろいろな球に合わせて言葉を返すという、キャッチャーの役割を見事に果たしていました」
NHK局内からはこんな声も聞こえる。
「今回の和久田アナは冷静でそつのない司会ぶりで落ち着いて見ていられました。有働アナの場合は、サービス精神が旺盛で、何をすればその場が盛り上がるかを熟知しているだけに、『お祭りの紅白で何かをしでかすのではないか』という期待感と緊張感があった」(別のNHK局員)
実際に2022年1月7日放送のニッポン放送『うどうのらじお』で有働アナは、紅白の和久田アナを「流れるような司会進行」と称える半面、自身が司会を務めた際に制作サイドから何を期待されていたかをこう明かした。
「私がやっている時は制作がね、流れるような進行じゃなくてちょっとコケるとか、フックを作ろうとするんですよね。あえて変なこと耳打ちするんですよ。『間違えちゃダメだよ、この人の名前、ほらほら』とか言って」
演出家のテリー伊藤氏は視聴者目線での両者の違いをこう分析する。
「有働アナは下町の匂いがして、錦糸町のスナックのママのような親しみやすさを感じる。一方の和久田アナは横浜のバーにいる高級なマダム。下町系の有働アナと、山手系の和久田アナの違いを視聴者も感じ取って、紅白ではそれぞれの違いを楽しんでいたはずです。
例えば和久田アナはドライブデートをしていても隣で絶対に寝ないタイプだけど、有働アナはよだれを垂らして横で寝ちゃうかもしれない(笑)。視聴者目線で妄想しても、実に対照的なふたりです」