街角に設置された電動キックボードのシェアサービス。シェアサービス用の電動キックボードはナンバープレートがある現行の道路交通法に則ったものだ(東京都渋谷区)

街角に設置された電動キックボードのシェアサービス。シェアサービス用の電動キックボードはナンバープレートがある現行の道路交通法に則ったものだ(東京都渋谷区)

保険も入っていないなんて怖い

 筆者は先日、都下のターミナル駅でもそうしたナンバーも保安部品もない電動キックボードを見かけた。歌舞伎町など深夜になるとごく普通に走っている。都心、都下に限らず違法な電動キックボードが走る姿を目にする。みなさんも見かけたことがあるかもしれない。それほどまでに多い。実際、警察庁は2021年9月の通達において「利用者の増加に伴い、一部地域では交通違反や交通事故が発生しており、今後、その件数が増加することが懸念される」として取り締まりを強化、全国で摘発が相次いでいる。

 ここ1年の重大事故だけでも、新宿区内で無免許運転のあげく信号無視でタクシーと衝突した20代飲食店従業員、大阪市中央区で歩行者に怪我を負わせてひき逃げをした30代住所不定無職、同じく中央区でひき逃げ、それも子どもと2人乗りで逃走した49歳会社役員、名古屋市中村区で無免許運転、バイクに衝突した20代自営業、渋谷区でひき逃げをした20代会社員などキリがないのだが、大都市の繁華街を中心に悪質なケースが後を絶たない。さっそく、早稲田通りの歩道を走り去るナンバーのない電動キックボード(本当に多いのだ)とすれ違った高齢女性に話を聞いてみる。

「怖いですよ。あんな小さいのでも年寄りがぶつかったら大変ですよ」

 まったくその通りで、自賠責すらない無保険の状態で人身事故を起こしたら大変なことになる。筆者は先の改正道路交通法が閣議決定された際、『電動キックボード「無免許ノーヘルで公道走行可」は見直すべきではないか』を書いたが、免許を取得し、法令に基づいた車両でナンバーを取得、保険にも入った上で公道を走行することに何ら問題はないし、そうした新しいモビリティの可能性を否定するつもりは毛頭ない。ここで問題なのは、ナンバーも取得せず、無免許だったり保安基準に適合してなかったりの電動キックボードを公道で運転する一部の人々である。今回の法案可決を勘違いしたのかわざとなのか、いまも乗り続けている。

「保険も入ってないなんて、ほんと怖いですね」

 ナンバーもないため個人の違法車両、かつ無保険であろうことを伝えると怖いという感想、本当に怖い。筆者が今回の改正道路交通法において、現時点で納得できない点が原付のような自賠責がなく、「特定小型原動機付自転車」に対する保険加入が強制でなかったこと、そしてヘルメットの着用もまた強制でなく努力義務になってしまったことである。改正道路交通法で無免許、ノーヘルで乗れるとされた最高速度20キロ以下の電動キックボードはナンバーも不要のため現時点の想定では自賠責がない。任意保険は損保会社各社で専用保険の商品化が進められているがあくまで任意、ちなみに自転車保険の加入率は義務化した地域で約60%に対して義務化していない地域では50%を切る。無保険の自転車にぶつけられても大変だが、無保険の電動キックボードにぶつけられたら大変な大怪我、最悪は死亡事故にもつながる。

 ヘルメットも着用を義務化すべきだろう。警視庁交通局によれば自転車事故による死者の56%が頭部損傷によるもので致死率は着用時と比べて約3倍も高くなる。保険の強制加入、ヘルメットの強制着用、この2点は絶対に義務化すべきだった。また16歳から無免許で乗れるという点も鑑みて、何らかの講習も義務付けるべきだと思う。仮にこのまま施行された場合、とくに未成年のお子さんを持つ親御さんは保険加入とヘルメットの着用について厳しく対応すべきだろう。自転車もそうだが、万が一にもお子さんが事故、それも他人を轢いてしまったら保護者が大変な賠償を背負う危険性がある。もちろん各企業によるシェアサービスは保険も完備されているのでその限りではない。

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