ドラマではその部分をファンタジーでぼやかすことはしない。きちんと向き合って、答えを探ろうとする。妖怪たちを反面教師にすれば、闇落ちを防ぐ術も、万が一落ちたときの立ち直り方やトラウマの乗り越え方だって、見つけられそうだ。

 そういう意味でこのドラマは、今の生きづらい社会を生き抜くためのヒントが詰まった、現代の民話と言えるのかもしれない。

 澪は、職場でパワハラやモラハラ、理不尽な目に合うし、感情的になった友人にひどい言葉を投げかけられたりもする。きっと世の中の誰もが同じだ。今の時代、職を失ってどん底生活になるのだって他人事じゃない。

 だからこそ、澪が落ち込んだり、悩んだりしながらも、人を信じ、素直に向かっていく姿に共感したり、元気をもらい救われたりする。

 今後、澪の書けない呪いは解けるのか、自信は取り戻せるか、また夢の行く末も気になる。そして個性豊かな妖怪たちとの関わりをもっと観たいと思う。魅力あふれるあなたの物語、私の物語として。

文・やしまみき

(c)テレビ朝日 劇場版も6月17日全国公開。『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』(東映)

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