【図表3】

【図表3】アジア諸国の出生率は低いまま推移

少子化が深刻な国ほど予算が少ない

 それでは、海外ではどのような対策を取っているのでしょうか。まず先進国で出生率の高いところ——フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリスなどは2に近い数字を維持しています(図表3参照)。

 それから、だんだんと下がってきて、1.5を維持するのがやっとというところがドイツ、ハンガリーで、日本とイタリアは1.5を切っています。

 そして、アジア諸国はおしなべて1にへばりついてきています。中国はこの2018年時点ではまだ1.7近い数字ですが、直近ではもう日本と同水準の1.3に落ち込み、かつての「1人っ子政策」から「3人っ子政策」へと方針転換を始めています。

 また、韓国は1を割ってしまいました。2018年は0.84でしたが、2021年は0.81になっています。OECDの中で一番、世界でも最も低いという状況です。日本と並ぶ人口減少国です。

 では、少子化問題に対して各国がどれくらいカネを使っているかということで、家族関係社会支出の対GDP比率を見てみると、OECD平均は2.34%です(図表4参照)。それに対して、日本は1.79%で、最も深刻な国であるはずなのに、予算はあまり使っていません。ちなみに、韓国はもっと使っておらず、1.30%です。実は韓国は、2020年に初めて出生数と死亡数が逆転して、死亡数のほうが多くなったのです(日本はすでに2005年に逆転している)。それで、いよいよ韓国も追い詰められています。

【図表4】

【図表4】少子化対策の予算が少ないほど出生率も低い傾向

 それに対して、ヨーロッパで出生率が高い国々は、GDPに対してフランスが3.6%、ハンガリーが3.47%、スウェーデンが3.40%と、いずれも3%以上使っています。

 つまり、「少子化対策をやっています」とみんな言うのですが、やはり出生率を維持できている国に比べると、そうでない国は対策にカネを使っていないのです。

 そこで、どんなふうに少子化対策にカネを使っているのかを調べ、日本もより効果的な対策に早急に取り組むべきなのですが、それが遅々として進められていないというのが、今の日本の現実です。

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