国内

暴力団事務所襲撃 入念なシミュレーションでも場所を間違える理由

写真/AFLO

襲撃で場所を間違える理由とは?(写真はイメージ/AFLO)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、暴力団事務所襲撃の際、実行犯はいかにして“リスク”を回避するのか、暴力団関係者らが語る。

 * * *
 5月3日、岡山市北区にある指定暴力団・池田組の関連施設に、軽ワゴン車が突っ込み、建物の壁面や窓ガラスなどを損壊するという事件が起きた。犯人は特定抗争指定暴力団、六代目山口組傘下の51才の組員。事件の後、約30分後に岡山中央署に自首し、建造物損壊の疑いで緊急逮捕された。警察の取り調べで容疑者は「自分の車を運転してバックで突っ込んだ」と供述しているという。

 ある暴力団関係者からLINEで情報が送られてきたのは事件の日の夜。ビルに突っ込んだままの軽ワゴン車の前で、警察の鑑識捜査が行われている現場写真や、窓ガラスが割れたビルの写真があった。暴力団関係者にとっても、LINEは便利な情報ツールだ。暴力団というキーワードが付く事件が起こる度、彼らからのLINEには、事件概要だけでなく現場の写真や動画が飛び交う。事件の一部始終が撮られていることもあれば、血だらけになって横たわる被害者や犯人らしき人物が映っていることさえある。そしてその映像は、メディアのニュースソースとして流れることも多い。

 池田組は、神戸山口組から離脱して独立組織になっており、容疑者は六代目山口組傘下の五代目山健組系組員だ。五代目山健組は六代目山口組から一度脱退し、その後、脱退した他の組とともに神戸山口組を結成したが、2020年に組を離脱。2021年に再び六代目山口組に復帰している。池田組も五代目山健組も同じ組織の傘下だった組同士なのだ。情報をくれた暴力団関係者が「面白いですよね」とコメントするぐらい、山口組が分裂して以降、離脱に脱退、破門に復帰が繰り返され、傍目には誰が身内で敵なのか分かりにくくなっていた。

 警察は暴力団抗争の可能性も視野に入れているというこの事件、LINEにはこんな内容も送られてきた。

「バットを持って事務所に行ったが、誰も出てこないのでガラスを全部割ったそうだ」

 突っ込んだ施設には普段、組員が出入りしていたというが、事件当時、人がいたかどうかは分かっておらず、警察が捜査中だ。容疑者の動機は不明だが、相手がその場にいるかいないか分からないというのは、このような場合リスクでしかないはずだ。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン