スポーツ

高校野球「放映権無料」の是非 甲子園出場校は寄付金集めに四苦八苦の現実

高校野球中継に放映権料がない問題をどう考えるか(阪神甲子園球場)

高校野球中継に放映権料がない問題をどう考えるか(阪神甲子園球場)

 高校野球「春夏の甲子園」の放映権料は無料である。○か×か──。クイズ番組で出題されそうな問題の答えは○である。春の選抜高等学校野球大会も、夏の全国高校野球選手権大会もNHKやABC朝日放送などで連日生中継されるが、日本高等学校野球連盟にその放映権料は1円も入ってない。

 いったいどういうカラクリなのか。アマチュア野球担当記者が説明する。

「『日本学生野球憲章』が学生野球の商業利用を禁止しており、その慣例が続いているということです。昭和21年に『学生野球基準要項』として制定され、昭和25年に『日本学生野球憲章』として改正されました。その後、細かい改正が数回行われていますが、『学生野球の商業利用禁止』は変わっていない。70年以上前のルールを今も適用し続けることが時代に合っているかどうか、考え直した方がいい時期に差し掛かっていると思います」(以下同)

『日本学生野球憲章』の第2条(学生野球の基本原理)には〈【4】学生野球は、学生野球、野球部または部員を政治的あるいは商業的に利用しない。〉とある。この精神に則り、放送局から放映権料を取らないようだ。

 コロナ禍以前はそれでも黒字だった。2019年の『第101回全国高校野球選手権大会 収支決算』によると、2億1491万459円の剰余金が出ており、そのお金は日本学生野球協会への助成金、日本高校野球連盟の事業費などに配分されていた。しかし、昨年の『第103回全国高校野球選手権大会 収支決算』では、新型コロナウイルスの影響で一般の入場券販売を見送ったため、2億6815万1349円の欠損金が出てしまった。

「主な収入を入場料だけに頼ってきたため、大赤字になった。どんな組織も収入の糸が限定的では、何かが起きた時に破綻しかねない。主催の日本高野連と朝日新聞はその現実に直面したわけです。昨年、減収を補うためにクラウドファンディングを実施しましたが、目標の1億円に対して約1400万円しか集まらず、達成率は13%でした。こんなことをするなら、放映権料を取ればいいという声は当然出ますよね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン