野球協約の罰則対象となっている“不品行”
昨年、中田を日本ハムから無償トレードで獲得したと同時に無期限謹慎を解いて“戦力”にしてしまった巨人。現在5位のチームは最下位転落の危機もある中で、中心選手である坂本を欠くわけにはいかないという事情もあるのかもしれない。
「中田の行為はスポーツ紙でも報道されたし、多数の評論家もコメントした。中田は相当な批判に晒され、調子を崩した。社会的制裁は十分受けており、もう同じ過ちは繰り返さないでしょう。しかし、坂本は今のところ出場停止もなければ、罰金もないし、ほとんどの評論家が騒動について触れていない。『日本プロフェッショナル野球協約2022』の第60条 (処分選手と記載名簿)に従えば、何らかの処分が下されてもおかしくないと思いますけどね」
第60条の(1)出場停止選手と出場停止選手名簿(サスペンデッド・リスト)には、『球団、あるいはコミッショナー、又はその両者は、その球団の支配下選手に対し、不品行、野球規則及びセントラル野球連盟、パシフィック野球連盟それぞれのアグリーメント違反を理由として、適当な金額の罰金、又は適当な期間の出場停止、若しくはその双方を科すことができる。』と書かれている。
「この“不品行”に該当するのではないでしょうか。今に始まったことではないですが、コミッショナーも何も言わない。球団が甘やかすなら、コミッショナーが厳重注意でもすれば雰囲気は変わるし、坂本も少しは反省するのではないかと思いますが……」(同前)
現在のところ坂本に対してお咎めなしの巨人だが、かつては女性トラブルを起こした選手を解雇したこともあった。
「2000年、長嶋茂雄監督の巨人と王貞治監督のダイエーが戦う“ON決戦”の日本シリーズ前、2人の選手に女性トラブルが持ち上がりました。1人の選手の場合は、女性が1000万円を要求しており、その女性は恐喝未遂容疑で逮捕され、2003年2月に最高裁で有罪が確定しています。もう1人は日本シリーズに向けたキャンプ中に、宮崎市内のスナックで女性の胸を触り、近くの路上で同じ女性に無理矢理キスをした。抵抗されると、スニーカーで頭を3回殴り、5日間のケガをさせています。選手は強制わいせつ致傷などの容疑で逮捕され、オフに退団しています。この時は渡邉恒雄オーナーが山室寛之球団代表を減俸10%(1年間)、長嶋監督を戒告処分にしています」(ベテラン記者)
「実績や人気があれば何をしても許される」前例
当時、長嶋監督は『チームの責任者としてファンの皆さんに謝罪しなければならない』などと記者陣の前でコメントしていた。
「事件化したこともあって、この時はスポーツ紙も報じていましたし、球団も監督もきちんと対応していた。『主力選手だったら解雇できたのか』という意見もありますが、それは仮定の話ですからね。今回の坂本のトラブルは事件化していないとはいえ、今まで何度も女性問題を起こしていることからも、球団が誠実に対応すべきだと思います。
ただ、巨人にとっては、過去に原辰徳監督の一件がありますからね。原監督が現役時代に起こした女性問題で元暴力団員に1億円を支払っていたと2012年に発覚したにもかかわらず、そのまま指揮を執り続け、その年日本一になった。そして翌年以降も監督を続けた。当時はそれを報じた週刊文春と名誉毀損の裁判中でしたが、監督退任翌年の2016年に敗訴が確定しています」(同前)