現役引退から18年後、社会人野球サウザンリーフ千葉のコーチとしてユニフォームに袖を通した江川卓氏(時事通信フォト)

現役引退から18年後、社会人野球サウザンリーフ千葉のコーチとしてユニフォームに袖を通した江川卓氏(時事通信フォト)

2011年に浮上して消えた“江川ヘッドコーチ”案

 ファンからは監督交代を希望する声も上がっている。中日で4度のリーグ優勝を果たした落合博満氏、ソフトバンクで5度の日本一に輝いた工藤公康氏などの名前を目にする機会も多い。

「もう一人、大物OBとして、江川卓さんを推すファンも根強くいますね。今まで巨人の監督候補として何度も名前が上がってきました。しかし、現在67歳で、引退後は一度もユニフォームを着ていない。監督になる可能性は低いでしょう」

 2011年に清武英利球団代表兼GMが巨人から解任され、告発の記者会見を行った時、渡辺恒雄氏が“江川ヘッドコーチ”を提案していたことを明かした。渡辺氏は、「巨人は弱いだけでなくスターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば“次は江川が監督だ”と江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしない」と話していたとも暴露した。

「結局、監督になれるかどうかは、オーナーや球団上層部の意向に左右されるということ。ただ、江川さんには長嶋監督復帰の1993年、長嶋ジャパンのアテネ五輪の時など、投手コーチの候補として名前が上がっていた。どこかのタイミングで首脳陣に入って投手育成で評判が上がれば、いずれ監督という目はあったかもしれません」

 江川氏は自身のYouTubeチャンネルを開設しており、そこで1987年の現役引退時に「コーチはやりません」「他からお話が来ても(巨人以外の)ユニフォームを着ることはありません」と語ったことを「ハッキリ覚えている」と明かしている。そうなると、どれだけファンが待望しても江川氏の監督就任はありえないのか。

「当時はFAもなかったし、現役時代に成績を残した生え抜きの選手が監督になっていた。その路線が普通でした。しかし、この35年で球界の常識は変わった。今年連覇したオリックスの中嶋聡監督やヤクルトの高津臣吾監督のような二軍監督の経験者が成功しているし、コーチを経ずにいきなり監督になるケースは少なくなりました。それも江川さんが監督になれないひとつの理由かもしれません。

 ただ、今回のロッテ・井口監督の突然の辞任のように、フロントが変わって、そのトップが江川監督を推せば実現することはあるかもしれない。中日がFAで出て行った落合さんを監督にするとは当時思われていませんでしたし、何が起こるかはわからない。何度も言うように、可能性は低いですけど……」

 理論的な解説で人気の高い江川氏。一度、監督でどんな采配を振るうのか見てみたいというプロ野球ファンは少なくないだろうが、それが実現する日は来るのか──。

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