国際情報

ロシアで相次ぐ大富豪の不可解な死 「危険分子」と見なされた可能性も

モスクワのクレムリンで、ウクライナ東・南部4州の併合を正当化するロシアのプーチン大統領。2022年9月30日(AFP=時事)

モスクワのクレムリンで、ウクライナ東・南部4州の併合を正当化するロシアのプーチン大統領。2022年9月30日(AFP=時事)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ウクライナ侵攻が始まってから今も続くロシアで相次ぐ大富豪の死について。

 * * *
 9月21日、ロシアでまた企業幹部が不審死した。今度はモスクワ航空研究所(MAI)の元所長で、顧問を務めていたアナトリー・ゲラシチェンコ氏(63才)だ。MAIは公式サイトで彼の死を「事故死」と報じているという。

 ロシアでは1月後半以降、影響力のある人物が自殺や原因不明の事故で亡くなったとの報道が相次いでいる。CNNによると、その数はゲラチェンコ氏を含め、少なくとも10人にのぼるという。9月12日には、ロシア極東・北極圏開発公社航空部門幹部のイワン・ペチョーリン氏(39才)が、ウラジオストク沖でボートから転落して死亡と報じられ、9月1日には、ロシアのウクライナ侵攻に反対の声を上げたロシア第2位の石油会社、ルクオイルのラビル・マガノフ会長(67才)が入院していた病院から転落して死去と地元メディアが報道。遅れて、国営メディアが自殺と報じた。

 ルクオイルでは5月にも、元幹部のアレクサンドル・スボティン氏(43才)がシャーマン(霊媒師)を訪れた後、遺体で発見されている。4月には大手天然ガス会社ノボテックの元副会長セルゲイ・プロトセーニャ氏(55才)がスペインの別荘で妻と娘とともに遺体で発見され、地元警察は一家心中とみられると発表。その前日には、ロシア最大手金融機関ガスプロムバンクの前社長ウラジスラフ・アバエフ氏(51才)がモスクワのアパートで銃を握った状態で妻と娘とともに死体で発見され、一家心中だと報じられた。

 ロシアの新興財閥オリガルヒの幹部や実業家たちの不審死は、ロシアがウクライナ侵攻を開始したことへの反対や、ウクライナ侵攻によるロシアへの制裁で、縮小する経済のパイの奪い合いの可能性などが噂されているが、どれも真偽は定かではない。ただロシアという国やプーチン大統領にとって敵、危険分子と見なされれば、排除される可能性は否定できないというのが一般的な見方だろう。

入国直後から行動監視をする目的

 国家やプーチン政権を脅かすほど重要人物でなくとも、ロシアという国では警察などの組織にマークされることがあるらしい。以前、仕事でモスクワを訪問した際、ホテルで経験した出来事を、NEWSポストセブンで書いた。宿泊したのは、クレムリンの傍らにある老舗ホテル。予約していたスタンダードなツインルームにチェックイン。翌日は朝から予定していた会合に出席し、ロシア政府関係者や実業家、ジャーナリストらと名刺交換し歓談をして、夜、ホテルに戻った。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン