国際情報

習近平退陣デモを目撃した在日中国人が予言「この運動はあと2週間で終わる」

話を聞いた男性。ビラを隠すように巻いた

話を聞いた男性。ビラを隠すように巻いた

 11月末から中国全土と世界の各国都市で断続的に行なわれた「ゼロコロナ政策」への抗議デモ。抗議の声に動かされるように、上海市は12月5日からコロナ対策を一部緩和すると発表した。デモ現場では「習近平は退陣せよ!」「自由が欲しい!」といったスローガンも叫ばれ、ついに中国人民は覚醒した──かのようにも見えるが、実際はそう単純ではない。中国事情に詳しいライター・西谷格氏がデモ現場で周縁の声を拾うと、もう一つの景色が見えてきた。

 * * *
 11月27日に東京・新宿駅西口で突発的に開催されたのを皮切りに、28日には麻布の中国大使館前、30日に新宿駅南口、12月2日に池袋駅西口前、3日に大阪市西区の靱公園、4日に高田馬場駅前など、日本でも1週間ほどの間に在日中国人によるゼロコロナへの抗議運動が続いた。

 12月2日夜、池袋駅西口では数十人の中国人が集まり、ゼロコロナ政策によって犠牲になったとされる人々への追悼集会を行なった。この日はスローガンを叫ぶことはしないと事前に決められていたものの、現場では中国政府に対して批判的なビラが配られ、言論封殺への抗議を示す白紙を掲げる人々が多数集まった。LEDランプのロウソクを中心に、輪ができていた。

 輪の中心のほうにいる人々の意見は、これまでの取材でおおよそ見当が付いていた。ゼロコロナはおかしい、もう我慢の限界だ、言論の自由が必要だ、中国共産党による独裁体制を変えなくてはいけない……。政治運動というのは不思議なもので、同じようなスローガンを繰り返し唱えるうちに、思考回路も一つの型にはまっていくものなのかもしれない。迷いのない言葉は歯切れが良い一方、何かを見えにくくするようでもあった。

 誰に声をかけようかと逡巡していると、集会の輪から2メートルほど離れた路上で、興味深そうに横目でこちらを眺めている男性がいた。今にも通り過ぎてしまいそうな様子で立ち止まっていたので、急いで声をかけた。20代後半で、来日して日が浅いという。頭髪をかき上げながら、彼はこう言った。

「彼らのことはすごいと思うよ。気持ちはよく分かる。ゼロコロナはみんな反対しているもの。でも、俺にはとてもあんなことをする勇気はないな」

 参加しない理由を、こう述べた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン