愛子さまは先の12月、3度キャンパスに足を運ばれたという。写真は高校時代の愛子さま(2017年3月、東京・新宿。写真/JMPA)
中学1年生のときには《看護師の愛子》という短編小説を創作された(2015年)。
「動物が大好きな愛子さまは獣医に憧れたこともあったようです。その思いと動物を愛する優しいお気持ちが、この短編小説の執筆につながったのでしょう。
診療所の扉を開けると海が広がっている、そして傷を負った海の生き物が次々に診療所を訪れるという展開は、なかなか思いつきません。ファンタジーの世界、美しい幻想的な風景を描き出す発想は、愛子さまの豊かなお心から生まれてきたものなのでしょう」(別の学習院関係者)
愛子さまの文才が溢れる2篇を以下に紹介します。
■『大きな力を与えてくれた沼津の海』
※学習院初等科の卒業文集『桜愛集』に収録されたもの(2014年3月)
不安な気持ちを抱きつつも、きっと楽しい思い出が作れると言われて出かけた沼津でしたが、初日から練習は厳しく、海に入りたくないと思う時も少なくありませんでした。ただ楽しかったのは、友達との生活と食事、お風呂でした。
しかし、足の着かない海で泳いで、初めて気持ち良いと感じる日が来ました。三日目に行ったプレ距離泳の時でした。プレの日は、波もなく、太陽が照りつける中での距離泳となりました。海に入るまでは、五百メートルも泳げる訳がないと諦めていましたが、泳いでいるうちに、体の力が抜け、楽しく泳げるようになりました。五百メートルを泳ぎ切ると、海が好きになり、海に入るのが楽しみになっていました。
迎えた本番の五日目は、潮の流れが少しあり、泳ぎにくいと感じましたが、前日に一キロ泳や二キロ泳を終えた人たちの「頑張れー」という応援の声が聞こえる度に、不思議と力が湧いてきました。無事に泳ぎ切り、みんなと喜びながら頂いた氷砂糖の甘い味は格別でした。
沼津での生活は、私に諦めないことの大切さを教えてくれ、大きな自信を与えてくれました。沼津の海は、私にとって忘れられない記念の海。六年間の中で、私がいちばん成長できたと感じられる素晴らしい思い出になっています。