国内

天皇皇后両陛下、トルコにお見舞いの電報 かつて大統領夫妻との会談で伝えられた感謝のお言葉

エルドアン大統領夫妻の来日時は、着物でおもてなしされた(2019年7月、東京・千代田区。写真/JMPA)

エルドアン大統領夫妻の来日時は、着物でおもてなしされた(2019年7月、東京・千代田区。写真/JMPA)

 外交官として仕事をするのも、皇族として仕事をするのも、国のためという意味では同じだと思います──天皇陛下がプロポーズとともに贈られた言葉のとおり、雅子さまは国と国との橋渡しとしての役割を全うされようとしている。大災害に心を痛められながらも、胸の内にあるのは「自分に何ができるのか」というお気持ち。

 令和を迎えて初の「天皇誕生日一般参賀」が2月23日に開催される。社会全体がウィズコロナへと移行する中、皇室行事も徐々に再開されていくようだ。

「中止が続いていた園遊会なども、再開に向けた具体的な議論が始まります。雅子さまのお出ましの機会も増えていくでしょう」(宮内庁関係者)

 雅子さまは昨年、国内地方公務への復帰を果たされた。今後ますますのご活躍が期待される一方で、体調不安説が持ち上がっている。

「深夜の散歩が増えているそうです。散歩で生活のリズムを整えられればよいのですが、就寝時間が不規則になってしまっているのではないでしょうか」(別の宮内庁関係者)

 そんななか、2月6日、トルコ南東部のシリア国境付近でマグニチュード7.8の大地震が発生した。死者は両国で3万5000人を超え、倒壊した建物のがれきの下には、発生から1週間以上経っても多くの人が取り残されたままだ。命懸けの救助活動により奇跡的に救われる命もあるものの、生き残った人々は最低気温が氷点下に達する厳しい寒さと混乱の中、避難生活を強いられている。

 両陛下は地震発生から3日後の9日、お見舞いのお気持ちをトルコ大統領あての電報に託された。とりわけ海外生活のご経験が長い雅子さまは、被災した人々に思いを寄せられ、深く心を痛められていることは想像に難くない。いますぐ被災地に駆けつけんばかりの思いを抱かれているかもしれない。

 アジアとヨーロッパの境に位置するトルコは、親日国として知られている。

「19世紀末、和歌山県沖でトルコ(当時はオスマン帝国)の軍艦エルトゥールル号が遭難し600名近い死者が出た際、紀伊半島の地元住民が不眠不休で生存者の救助や遺体収容にあたったことは、トルコ国内でよく知られています。また80年代のイラン・イラク戦争時、イラン在住邦人の脱出はトルコの航空機により果たされました。困難に陥った際、助け合ってきた二国と言えます」(外務省関係者)

 2019年、トルコのエルドアン大統領夫妻の来日時にも、両国の良好な関係が明かされた。

「両陛下は皇居に大統領夫妻を招かれ、雅子さまは和装でお出迎えになりました。療養中の雅子さまには洋装の方が負担が少ないと思われていたのですが、陛下の即位からわずか2か月後の来日ということもあり、日本の伝統的装いでお迎えしたいと、雅子さまご自身が和装を選ばれたといいます。大統領夫人のグレーベースの装いに、雅子さまの薄緑の着物は静かに調和しており、結果的に大成功でしたが、和装という決断には職員も驚いたものでした」(前出・宮内庁関係者)

 雅子さまらしいゲストファーストのおもてなしには、ある特別な理由があった。

「2011年の東日本大震災で、トルコ政府は地震発生からわずか10日間で救助隊を派遣しました。隊員は行方不明者の捜索活動に参加したほか、毛布やシーツ、缶詰などの物資が大量に提供されました。トルコの救助隊は各国の中でも最も早く現地入りし、最後まで現地に残りました」(前出・外務省関係者)

 2019年の会談で両陛下は、改めて感謝の言葉を伝えられた。

「このとき陛下は『両国はともに地震のある国』と話されました。歴史的なつながり以外にも地震災害国としての共通点が、日本とトルコにはある。同席されていた雅子さまも、そのときのことをよく覚えておいでなのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

 実際、東日本大震災の約7か月後の2011年10月、トルコ東部地震が起きた。このとき、日本から支援に駆けつけた人の中に、NPO職員の宮崎淳さん(享年41)がいた。

「現地での支援活動中、宿泊先のホテルが余震で倒壊し帰らぬ人となりました。トルコの人たちは宮崎さんへの感謝の気持ちを忘れまいと、公園など公共施設に宮崎さんの名を冠し、銅像も建立しています」(NPO関係者)

 陛下は昨年2月の誕生日会見で宮崎さんの功績に触れ、国を超えた助け合いの大切さや、トルコの人たちの温かな気持ちへの感謝を改めて表明された。今回のトルコ大地震は、それから1年も経たないうちに発生したことになる。

「陛下はこの誕生日会見で、“被災地への思いはつねに雅子さまと共有されている”と話されました。トルコとの助け合いの歴史についても、雅子さまと話されているのでしょう。どの国の要人とも等しく接される雅子さまですが、トルコ大統領夫妻との会談にあたって和装を選ばれたのにも、そうした背景が強く関係しているのかもしれません」(皇室ジャーナリスト)

 皇室関係者によると、トルコ大統領あてのお見舞いの電報も、両陛下の行き届いた心配りによるものだったという。

「両陛下は日本メディアのみならず、世界のメディアを通じて現地の情報を注視されているそうです。いまご自身にできることはないかと自問自答されているのでしょう」

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン