ライフ

伝統的資金源を確保できなくなったヤクザ 「食べていけない」と不動産会社で早朝から普通の会社員のように働く者も

2006年12月7日、東京・新宿で行われたみかじめ料等不払い宣言大会で、暴力団へのみかじめ料を「払わない」と一斉に宣言する参加者ら(時事通信フォト)

2006年12月7日、東京・新宿で行われたみかじめ料等不払い宣言大会で、暴力団へのみかじめ料を「払わない」と一斉に宣言する参加者ら(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、会社員のように働くようになったというヤクザの仕事の移り変わりについて。

 * * *
「最近、普通の会社員なんですよ」と、暴力団幹部が席につくなり言い出した。以前から「ヤクザ本来のシノギができなくなって、稼げない」と嘆いていたので、とうとう彼も覚悟を決めたのかと思った。

“ヤクザ本来のシノギとは”と尋ねた時「恐喝」と即答された。見るからにヤクザとわかるような風貌の幹部に睨まれ、すごまれたら、ヤクザと関わりなく生活している人々はそれだけで縮み上がるだろう。それをわかっているのか「俺たちだって、言葉使いは相手や状況によって変える」と話す幹部は、「人の弱みや秘密を握って、金や物を要求するのが恐喝。恐喝する時は相手を恫喝するが、ヤクザは恫喝しただけで脅迫罪に問われることもある。堅気相手に”てめぇ、このヤローまで”はいいが、”ぶっ殺すぞ!”と言った途端、脅迫罪になるだろう。だから堅気への言葉遣いは丁寧に、嫌われないよう怖がられないようにが基本だね」と話す。

 言葉遣いを丁寧にすれば脅迫罪に問われない、というのはあくまで彼の認識だが、彼らがシノギとして行っていた恐喝は、暴対法や暴排条例によって暴力団排除が浸透し、何かあればすぐに通報されるようになった。さらにコロナ禍で会社や店が休業し働き方も変わり、狙うターゲットを探せなくなったのだ。「今までのような稼ぎ方だけではヤクザの世界も食べていけない」というのが、ここ最近の彼の口癖だった。

ヤクザを辞めても仕事ない

 警察のいうヤクザのシノギは、賭博や違法薬物の売買、みかじめ料に人身売買といったもので、これらを伝統的資金源と呼んでいる。幹部のいる組では恐喝、詐欺、みかじめ料の徴収が主な資金源だったが、それも変わりつつあるらしい。「地上げに関わったり、産廃を手伝ったり」。賭博も様変わりし「昔ながらの賭場を見ることはほとんどない。それに賭場は新参者が手を出せるようなものではない。今の若いヤツらがいう賭博といえば、オンラインカジノやサッカーやボクシング、野球賭博や相撲賭博。テキヤは時期が決まっているし、クスリはやらない」(幹部)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン