本塁打王はどちらに
とはいえ、村上が本来の輝きを取り戻すためにはまだ課題があるようだ。元広島の監督で野球評論家の達川光男氏が語る。
「大谷はトップから最短距離でボールをとらえてからアッパースイングになりますが、村上は最初から左肩が下がり、下からバットが出るアッパースイングになっている。大谷のフォームを真似ているのかもしれないが、結果的にインコースが打てずに苦戦している。彼が昨年レベルの成績を残すためには、このスイングの軌道を修正する必要があります」
ヤクルト、巨人で4番を打った広澤克実氏は、セが誇る2人の4番を比較してこう語った。
「岡本は肩を回す軸と下半身を回す軸が地面から垂直で理想的なスイングができていますが、村上は2つの軸がズレているため、体が前に突っ込んでしまいがちです。そうなる原因は体の回転よりも先にバットが出てしまう点にありますが、その悪癖も徐々に修正されて、大きい当たりが出るようになりました。本人がこの点を意識し続けられれば、今後さらにホームラン量産が期待できます」
8月中旬時点では、セの本塁打王争いは岡本が村上を一歩リードしている状況。メジャーでは大谷の本塁打王が濃厚だが、日本ではどちらの4番がキングとなるだろうか。
(了。前編・岡本和真編から読む)
※週刊ポスト2023年9月1日号