悠仁さまの存在も佳子さまのお立場を複雑なものにしている(7月、鹿児島県。写真/JMPA)
家庭内では悠仁さまファースト
騒動はひとえに、佳子さまがひとり暮らしを決断されたことによる。だが、そのご決断は、佳子さまのやむにやまれぬお気持ちからのものだ。
「佳子さまの置かれているお立場、それによって生じる不安や葛藤を考えれば、佳子さまがひとり暮らしを叶えたかった理由は充分に理解できます」(皇室関係者)
皇族として自由に外出することはできず、お住まいは外界と隔絶された赤坂御用地にある宮邸。そうした生活に息苦しさを感じてしまうのは、いくら皇族であっても当然のことだろうが、そうした日々には、いずれ終わりが来るはずだった。しかし、皇室の先細りが叫ばれる中で、「結婚したら民間人」という女性皇族の決まり事も揺らぎ始めた。安定的な皇位継承に関する政府の有識者会議は、2021年12月、「女性皇族が結婚後も皇室に残る」という案を含めた最終報告書を取りまとめた。
「決定次第で、佳子さまの未来は180度変わります。それでいて、政府内の議論は進められず、1年半以上も放置されたまま。しかも、いつ下るともわからない重大な判断に、佳子さまの意思は反映されないわけです。そうした不透明な状況で、わずかにでも自由を手に入れたいという思いから、ひとり暮らしを希望されるのは自然な心情と言っていいでしょう」(前出・皇室関係者)
将来の天皇の姉であることは、佳子さまのお立場をさらに複雑なものにしている。
「紀子さまは悠仁さまの教育に並々ならぬ情熱を注がれ、ご自宅でも“悠仁さまファースト”を隠さず貫かれると聞きます。そうした紀子さまの姿を目の当たりにして、佳子さまがご自身の存在意義について深くお考えになる機会が増えたことは想像に難くありません」(前出・皇室関係者)
そうしたお考えには、姉の眞子さんの結婚も影響しているのだろう。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員で、『学習院女子と皇室』の著者である藤澤志穂子さんは、「眞子さんの結婚には、皇室から“逃げたい”という強い気持ちが見えました」と話す。
その眞子さんを、佳子さまはハグで送り出された。姉妹は互いによき相談相手であったのだろう。しかしいま、佳子さまのそばに眞子さんはいない。不安定で複雑な状況に置かれながら、佳子さまは熱心に公務に励まれている。
「習熟されている手話を生かされたり、女子野球やガールスカウトを応援されたりと、佳子さまだからこそ務められる公務にしっかりと向き合われています。眞子さんの結婚を機に興味を持たれるようになったというジェンダー問題へのご関心も、ご自身の抱える問題意識の表れなのかもしれません」(前出・皇室記者)
佳子さまは、数少ない公務の担い手だ。人々の前では明るい笑顔を振りまかれ、地方公務にも積極的にお出ましになられている。だが、その陰で抱えられる葛藤は、計り知れないものなのだろう。
※女性セブン2023年9月7日号