「ジャニーズ問題と同じ構図です」
羽生の祖母や親族も、ほとんどが相手はおろか、結婚することも報道を通して知ったほどだった。それは、Aさん側も同様だった。
4才からバイオリンを始めたAさんは、中学卒業と同時に東京の高校へ進学し、故郷を離れた。その際、上京したAさんを見守ったのが、当時テレビ局に勤務していたジャーナリストの叔父だった。Aさんが、叔父がかつて勤務し、退職後も携わっていたテレビ局の報道番組でバイオリンを披露したこともあった。
だが、“父親代わり”だったはずのこの叔父でさえ、「ぼくは(結婚や離婚の背景を)よく知らないんです。だから、取材には答えられないんですよ」と話すだけだった。
たしかに、実情を知る人が少なくなれば、“情報統制”は容易になるのだろう。だが、結婚は「人生に一度きりの慶事」であってほしいと願う女性は多い。その喜びの声を、親族にさえ伝えられないAさんの苦しみを、羽生は理解していたのだろうか。加えて、これまで羽生に関するニュースをめぐっては「テレビやスポーツ紙を中心に、最低限の取材マナーを守り、配慮をしてきた」と話すのは、別のスポーツ紙記者だ。
「インタビュー取材などは、すべて羽生さん側のチェックが細かく入ります。事前の取材内容から始まり、言葉のニュアンスまで、本当に一字一句です。特にスケート以外の話を聞くのはご法度で、少しでも聞こうものなら、“取材拒否”されかねない雰囲気があるんです。まるで、旧ジャニーズ事務所がメディアをコントロールしていた問題と同じような構図ですよ」
こうした羽生の報道に対するスタンスには、著名人も反応。《許可のない取材や報道》という文言に、ジャーナリストの江川紹子氏は自身のブログで《当人の『許可』がなければ取材も報道もしてはならない、となれば、メディアは本人が望む情報だけを拡散する宣伝媒体としか機能しなくなる》と警鐘を鳴らした。
離婚発表5日前の11月12日の深夜、「『職業 羽生結弦』の矜持」(日本テレビ系)が放送された。プロ転向後1年を経た羽生に密着したドキュメンタリー番組だ。CM撮影に臨んだ羽生は、密着カメラに向かって「“素材”として頑張ります」と話した。
「彼はセルフプロデュースに長け、自らが優良コンテンツだと自覚している。その役割をわかっているからこそ“素材”という言葉が自然に出てきたのだと思います。それだけに、周囲やファンから自分がどう見られているか、その視線の変化に大変敏感なんです。密着された時期は今年7月下旬で、結婚発表の直前。その後のあまりに大きな変化は、“素材”としても耐えられるものじゃなかったのでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
結婚発表から離婚まで105日──。一生の愛を誓い合ったはずの2人にとって、あまりにも短い新婚生活だった。
(了)
※女性セブン2023年12月14日号