1987年、パソコンにフロッピーディスクを何枚も読み込ませて使用するのが普通だった(イメージ、時事通信フォト)

1987年、パソコンにフロッピーディスクを何枚も読み込ませて使用するのが普通だった(イメージ、時事通信フォト)

 ともあれ、ついに国から使用指定を廃止となったフロッピー、現状の普及率や使用頻度を鑑みれば遅すぎたと指摘する識者もあるが、先に述べたようにセキュリティや導入、もしくは慣れの問題と同時に「周りが使っているから」という面も大きかった。

 官が率先してその見直しを進める、いかにも日本的かもしれないが、こうでもしないとデジタル庁の「デジタル原則に照らした規制の一括見直し」および「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直し」は実現しないということなのだろう。

 これも時代だが、あの5インチのガコンガコガコンとか、3.5インチのズーッズッズッとか、フロッピーを読み込むときの「音」に胸を高鳴らせた身としては少しさみしくもある。これらは筆者の「音」でしかないが、多くの当時を知る方々にはこれとは聞こえ方の違う、それぞれの「音」があっただろう。それはゲーム開始のときか、学校のレポートを書き終えたときか、懸命に働いていたときか、人それぞれのフロッピーの音があった。それほどに長く、私たちとともにフロッピーはあった。その思い出だけは記録され続ける、ということか。

 ちなみに経産省、しばらくは「電磁的記録媒体」と表記改正されるだけで即「フロッピーは禁止」というわけではない。同時に表記の指定として消える「CD-ROM」と同様、あくまで義務化を排除、オンライン化のための見直しの一貫である。

 それでも、私たちと共にあった「フロッピーという時代」が、この国では少々遅れたが、正式に終わろうとしている。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経て、社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

関連キーワード

関連記事

トピックス

西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
雅子さま、紀子さま、佳子さま、愛子さま 爽やかな若草色、ビビッドな花柄など個性あふれる“グリーンファッション”
女性セブン
兵役のため活動休止中のBTS。メンバー全員が除隊となる2025年にグループ活動再開を目指している(写真/アフロ)
【韓国大手事務所HYBEの内紛】「BTSの父」と「NewJeansの母」が対立 ARMY激怒で騒動は泥沼に、両グループの活動に影響も
女性セブン
有村架純と川口春奈
有村架純、目黒蓮主演の次期月9のヒロインに内定 『silent』で目黒の恋人役を好演した川口春奈と「同世代のライバル」対決か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
小泉氏は石破氏に決起を促した
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
週刊ポスト
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
ハイパーゼネラルマネージャーの有田とスペシャルサポーターの博多華丸・大吉
【漫才賞レース・THE SECOND】ハイパーゼネラルマネージャーに有田哲平、スペシャルサポーターに博多華丸・大吉を起用した理由
NEWSポストセブン