社長のほか、被災地で活動する医師、看護師らも招かれたご進講(3月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
ふさわしいかふさわしくないか
愛子さまのご結婚についてなぜ議論が再燃しているのかといえば、女性皇族をめぐる状況が大きく変わり始めているからにほかならない。現行の皇室典範では、女性皇族は結婚すると民間人となるが、その前提が覆されようとしているのだ。自民党はこの3月5日、令和6年運動方針案を発表。初めて安定的な皇位継承に関して記載し、「責任ある政権与党として、国会での議論に資するよう、党内での議論を進めていく」とした。
「昨年11月、岸田首相は自民党内に、直轄組織である『安定的な皇位継承の確保に関する懇談会』を新たに設置しました。懇談会は、『内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること』、『皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること』という2案を併記し見解とする方向で調整中だそうです」(前出・皇室記者)
同日には立憲民主党内でも、「女性宮家」の創設をめぐる議論が行われた。2月28日、国会でも注目すべき見解が示された。内閣法制局が、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持した場合、その夫に皇族としての身分が与えられなくても、夫婦が同等の権利を有することを定めた憲法24条には抵触しないとしたのだ。
「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する場合の、懸念事項の1つが『夫の身分』でした。つまり、女性が結婚後も皇族であり続ける場合、その夫は皇室に入るのか、それとも民間人のままなのか、という議論です。その点、今回の内閣法制局の見解によって、妻は皇室にとどまっても、夫は民間のままでいい、という夫婦の形にお墨付きを与えたことになります」(前出・皇室記者)
「生涯皇族」だとしても女性皇族の結婚のお相手選びのハードルはいくらか下がっただろう。とはいえ、かつて秋篠宮家の眞子さんの結婚の際、彼女は民間人になるにもかかわらず、お相手の民間人男性について「ふさわしいかどうか」という議論が百出したことを考えると、一筋縄ではいかないことは明白だ。
「もし女性皇族が結婚後も皇室に残るというルールができたとして、さて、その夫になる人が実際にどのような生活を送るのか、まだ前例がないために想像もできません。民間人とはいっても、たとえば愛子さまの配偶者であれば、天皇家の“ご家族”となるので、完全に一般の生活が送れるわけがない。当然、周囲の見る目も違うでしょう。となれば、国民も“誰がふさわしいのか”という思いを巡らさずにはいられないはずです。
ただ、近衞家の子息だったら高いハードルをクリアできるかもしれません。ご両親ともに皇室と縁があるセレブで、長い歴史が示す通り、家柄としては申し分ない。さらに、祖父は就職先の名誉社長です。愛子さまにとって、彼との出会いは運命的といえるのではないでしょうか」(別の宮内庁関係者)
愛子さまは成年会見で「結婚は、私にとってはまだ先のことのように感じられ、いままで意識したことはございません」と答えられたが、今後、取り巻く環境が変わりゆくなかで、どのような境地に立たれるだろうか。
※女性セブン2024年3月28日号