新年、および天皇誕生日の一般参賀にも、成年皇族として堂々と出席されている(2024年2月、東京・千代田区。写真/JMPA)
愛子さまにとっては、祖父が退位し、父が天皇、母が皇后になった。愛子さま自身も、皇太子家の長女から「天皇家の長女」に変わられた。
「愛子さまが中学生のときに上皇さまの退位が決まり、伊勢神宮や神武天皇陵、京都御所など皇室ゆかりの地をご両親と訪れ、お気持ちを新たにされたのでしょう。
もちろん学生のうちは学業優先でしたが、社会人デビューを控えて両陛下とともに積極的にご進講を受けられたりするなど、愛子さまからは、“早く皇族としてさまざまな公務をこなしたい”という思いがほとばしっているかのようでした。両陛下が公務に励む姿が刺激となっているようです」(皇室ジャーナリスト)
大学を卒業する愛子さまが選んだのは、日赤へのご就職だった。
「研究者肌の愛子さまだけに、大学院進学か海外留学をされるとみられていたので、就職は大きなサプライズでした。さらに言えば、愛子さまの叔母である黒田清子さんが、大学卒業後に『山階鳥類研究所』の非常勤研究助手という、自身の研究の分野に近いものを選んだのに対し、皇族としての“務め”に密接にかかわる日赤を選ばれたことに、愛子さまの社会貢献への強い決意が感じられます」(皇室記者)
日赤の名誉総裁は代々皇后が務めており、現在の名誉総裁は雅子さまだ。だが、これは母娘密着という関係からではなく、自立した個人として、愛子さまが選ばれた将来なのだろう。
公務を担う成年皇族の数は減少の一途をたどっている。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案や、女性宮家創設が議論されているが、政府の怠慢で遅々として進んでいない。また、世論調査では、多数が「女性天皇」を支持している。
ご誕生時に「次は男子が生まれればいい」という視線を向けられた愛子さまが「皇室先細りのツケ」を、その全身全霊をもって払われようとしているのだ。だが、愛子さまは決して後ろ向きではない。自らその扉を開こうとしている。
「天皇家の長子であり、女性皇族でもある愛子さまは唯一無二の存在です。その愛子さまが公務との両立が可能な就職を選んだのは、この先の人生も『生涯皇族』として雅子さまを支え、ともに歩まれたいというお気持ちからでしょう。22年にわたる母と娘の物語がもたらす未来です。愛子さまには、成年皇族として存分に羽ばたいていただきたいものです」(前出・皇室ジャーナリスト)
平坦な道のりではなかった。今後も、愛子さまのお立場をめぐってさまざまな意見が飛び交うはずだ。だが、何よりも雅子さまからの慈愛を胸に、純真な心を持つ愛子さまは、成年皇族としての道を歩まれる。
(了。第1回から読む)
※女性セブン2024年4月4日号