違法賭博の胴元だったボウヤー氏(写真はインスタグラムより)
大谷から借金を回収できる
水原氏の裏切り行為に対し日本では大谷に同情し「大谷被害者論」が根強いが、現地メディアやコメンテーターは、大谷の責任を追及したり、残された疑問への再説明を求める厳しい論調も多い。
「会見では、水原氏がどうやって大谷選手の口座にアクセスし不正に送金することができたのかという点は説明されませんでした。この点を不服とし、中には『大谷が自分の銀行口座から総額400万ドル以上の送金があったことを知らなかったという説明は受け入れがたい』と論じている記事もあります。アメリカでは、“それでも大谷が悪い”と捉えたがる風潮が強い」(前出・在米ジャーナリスト)
たしかに本来であれば、他人の口座の認証を突破し、不正に送金することは困難だ。しかし、水原氏と大谷はオフにも行動を共にし、通訳の枠を超えて大谷の私生活でも交流してきたほどの仲。おカネに無頓着な大谷の性格もあり、アメリカでの支払いや金銭管理を水原氏に任していたという情報もある。
大谷にもはっきりと“ウソつき”の烙印を押された水原氏だが、当初から彼の証言には腑に落ちない点が多く見られた。
「アメリカでスポーツ賭博は幅広く浸透していますが、カリフォルニア州では違法とされ、一般的なオンライン上のブックメーカーのサイトにカリフォルニアのIPアドレスからはアクセスできません。若い頃、カジノディーラーの養成学校に通っていた水原氏が、カリフォルニアでスポーツ賭博が“違法と知らなかった”とは考えにくく、証言の信憑性が問われます。
ボウヤー氏と懇意になった水原氏は、信用取引(後払い)で自己資金を大きく超えた金額を賭けていった。そもそも後払いで賭博ができる時点で、それは州に関係なく、ほぼ100%違法賭博なんです。
賭博を始めた頃、エンゼルス時代の年俸が約8万5000ドル(約1300万円)だった水原氏に7億円もの負債を許すのは、常識的に考えて返済リスクがありすぎます。胴元のボウヤー氏は、水原氏の背後に確実に借金を回収できる大谷選手を想定し、無理な借金を重ねさせてからめ捕っていったのでしょう」(前出・在米ジャーナリスト)
ギャングやマフィアが運営
水原氏を奈落の底に突き落とし、大谷を巻き込んだボウヤー氏とはいったい何者か。現在50才手前とみられる同氏はもともと害虫駆除業者だったが事業がうまくいかず、ギャンブルにのめり込むようになった。2011年にはラスベガスのカジノで42万5000ドル(約6400万円)の負債を負って自己破産を申請した。
だが、いつの間にか再起し、2017年に南カリフォルニアの高級住宅地に一戸建てを購入。平均住宅価格が約2億円を超える裕福な街で、4つの寝室に5つのバスルーム、プールを完備した彼の豪邸には4億円を超える資産価値があるという。
「最近では、怪しい海外の不動産投資に関与して、『カリブ海の楽園での不動産所有を手頃な価格で実現する』を謳い文句に、定年退職した高齢者たちに話を持ちかけ、トラブルにもなっていたようです。いわくつきの人物とみて間違いありません」(現地特派員)
自己破産後もギャンブルから抜け出せず、コネチカット州やカリフォルニア州でも賭け事で作った負債を抱えていたが、いつしか「違法賭博の胴元」として活動するようになった。
「豪邸を購入後、ボウヤー氏はラスベガスに会社を設立して、自宅近くにブラジリアン柔術のスタジオをオープンしました。その頃から金回りがよくなり、オフショアやカリフォルニアを拠点に違法賭博の元締めをしていたと指摘されています。胴元として儲けるため、非合法な賭けにも乗ってきそうな“カモ”を物色していたとされます」(前出・現地特派員)
