国内

人生の3分の2を刑務所で暮らしてきた男 次の出所後を考え初めてできた心配ごととは

刑務所での生活に満足しているという(イメージ、時事通信フォト)

刑務所での生活に満足しているという(イメージ、時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、出所しても時間をおかずに新たに罪を犯し、人生の大半を刑務所で過ごす男について。

 * * *
「あいつほど幸せなヤツはいませんよ」と話すのは、人生の3分の2を刑務所で暮らしてきたという64歳の男の知人A氏だ。何が幸せなのかと聞けば、「だって考えてもみてください。普通の人だったら、刑務所は地獄かもしれない。だがヤツにとっては天国だそうだ。食べる物にも寝る所にも困らない。病気になっても治してくれる。何も考えなくてもいいし、何の心配もないわけです。税金も払わず、国が食べさせてくれているんですからね」

 男がこれまでに有罪判決を受けた前科は13犯。これにより服役した期間は42年10か月。ところがA氏は「少年院の頃も含めれば45年近くになるだろう」という。少年院は少年刑務所と違って、刑罰ではなく保護処分として収容される施設。少年院に送致されても前科はつかない。64歳という年齢を考えると、外の世界にいたのは20年ほどしかない。

そしてこの3月、これに懲役3年6月の実刑判決が加わった。実はこの男、2023年4月に出所していたのだが、半年が過ぎた11月、街を歩いていたところを警察官の職務質問を受け逮捕された。罪状は覚せい剤取締法違反。提出した尿から覚せい剤の陽性反応が出たのだ。

 前科13犯のうち10犯は薬物によるもので、覚せい剤を始めたのは18歳頃、男は覚せい剤の常習者だった。もとは暴力団にも所属したことがあるというが、それも遠い昔。「ヤクザに戻ることはなかったが、昔からの知り合いはいた」という男は、薬物売買を通じ暴力団との関係は完全には切れなかったようだ。これだけ薬物事件の犯歴を重ねていれば健康を害し身体はボロボロだろうと想像するが、「俺なんかよりあいつの方が健康ですよ」とA氏は話す。

「薬物でおかしくなってくると逮捕される、ということを繰り返してきた。違法薬物の売人をやっていても、自分で使わなければ挙動不審にもならない。精神状態がおかしくなることもない。警察官に目をつけられ職質をかけられることもない。ところが売人をやっていると、”商品”の質をみるために試すうちに、自分でもやりたくなってくる。売人が自分で使っちゃおしまいですよ。へべれけになってしまえば、警察に捕まるだけです」(A氏)。そうして男は何度となく逮捕され、その度に数年の実刑判決を受け服役する。服役中に薬物は抜け、すっかり健康になって出所するという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン
国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン