御料牧場にはご一家で6日間滞在された(5月、栃木県。写真/JMPA)
「未婚の皇女の恋愛はタブーですか」
式子内親王は、後白河天皇の第三皇女で、貴族の時代から武士の時代へと変化する平安後期から鎌倉初期を生きた。また、当時の文学に造詣が深く、源氏物語や古今和歌集を下敷きにした和歌が高く評価されている、時代を代表する女流歌人のひとりでもある。
当時、天皇の代わりに選ばれた「未婚の皇女」で、伊勢神宮に奉仕する者を「斎宮」といい、同じように、賀茂神社に仕える者を「斎院」といった。式子内親王は斎院の立場であり、恋愛をすることは許されておらず、生涯未婚だった。
「百人一首に収録された代表的な式子内親王の和歌は、許されざるなかで、秘密の恋に苦しむ激しい感情を詠んだものです。愛子さまは当時の内親王の難しい立場に思いを馳せられたでしょう。また、そうした『内親王の悲恋』に共感される部分もあったのではないでしょうか」(学習院関係者)
卒業論文の執筆にあたり、愛子さまは、中世の和歌に関する膨大な量の先行研究に目を通されたという。
「愛子さまは苦戦されながらも、なんとかご自分の意見を言おうと試行錯誤されていたそうです。愛子さまにとって、式子内親王について研究を重ね、理解を深められることは、ご自身のお立場を解釈することの助けになったのかもしれません。また、当事者として意見を持たれようとしたことは、愛子さまご自身が、現状のお立場について思うところがあるということでしょう」(前出・学習院関係者)
卒業論文を上梓したのち、3月、愛子さまは斎宮歴史博物館(三重県多気郡)を訪問された。このとき愛子さまは、「卒論で式子内親王を扱いました」と笑顔で話され、案内を担当した職員に「斎宮の恋愛はタブーかどうか」を尋ねられたという。
「今回の特別展でも、斎宮と男性の逢瀬を描いた章段がありました。未婚を義務とされ、恋を禁忌とされた斎宮が、束の間の逢瀬に夢と現実のはざまで戸惑うといった内容でした。愛子さまは恋に苦しみ、夢を叶えられなかった内親王に思いを馳せられ、現在のご自身のお立場と重ね合わせられたことでしょう」(前出・皇室記者)
愛子さまにとって、『源氏物語』をはじめとした過去の皇族に関連する文学作品の研究を続けることや、今回の特別展のように公務を通して実際に資料に触れることは、ほかならぬご自身のためでもあるのかもしれない。
「昨年11月、東京国立博物館で『源氏物語絵巻 夕霧』をご覧になった愛子さまは、“親近感があります”とこぼされました。
『源氏物語』には、華々しい貴族の生活にとどまらず、宮中に渦巻く嫉妬や羨望、略奪愛など、禍々しい感情も少なからず描かれており、人間の業を考察することができます。このままお立場が不安定で、考察を続ける必要があれば、愛子さまはますます光源氏の世界に傾倒されていくことでしょう」(前出・宮内庁関係者)
愛子さまは帰り際、「夢を通して平安貴族の心のあり方に触れることができました」と感想を述べられた。その心とは──。
※女性セブン2024年5月30日号