「父子相伝」がない
背景には今上天皇と秋篠宮さまが受けてきた教育の違いもある。
「今上陛下が皇位継承を前提に帝王学を授けられ、上皇陛下からも『父子相伝』で様々な教えを受けたのに対し、秋篠宮さまは天皇になるのではなく、結婚したら独立して宮家になる立場と考える状況でした」(同前)
今上天皇や秋篠宮さまの子供の世代で唯一の男性皇族である悠仁さまは、生まれながらに「未来の天皇」としての存在だったが、秋篠宮さまはそうした立場ではなかったという違いがあるわけだ。
2024年11月の誕生日会見では、「天皇のあり方について悠仁さまにどう伝えていくか」と聞かれた秋篠宮さまが「私はその立場ではありません」と答えたこともある。
その秋篠宮さまが自由な教育方針を持っていることも影響してくるとするのは皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳氏だ。
「上皇陛下や今上天皇が通った学習院大は歴史に裏づけられた伝統があり、周囲から“将来の天皇”とみられることで本人の意識が育ちます。しかし筑波大学の自由の校風のもとで、悠仁さまに皇位継承者としての自覚が強まるかは疑問です」
そうしたなかでは今後、悠仁さまが秋篠宮家の外から教えを受ける機会がどれだけ増えるかが注目される。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司氏は言う。
「天皇の在り方を学ぶために今上陛下や上皇陛下とお会いする機会を増やし、様々なお話を直に伺う必要があると思っています。悠仁親王殿下に対してそう願っている国民は多いでしょう」
悠仁さまの帝王学教育について宮内庁総務課報道室は「大学では授業に出席されるほか、色々な活動をなさっておられます」と回答した。
秋篠宮家をめぐる状況もあり、今上天皇の長女・愛子さまへの皇位継承を望む“愛子天皇論”もくすぶる。ただ、「愛子さまも今上陛下をすぐ側でご覧になってきたとはいえ、帝王学までは授けられてはいないはず」(前出・宮内庁関係者)だ。
悠仁さまの生誕時、女性・女系天皇容認の皇室典範改正をめぐる議論が白紙に戻された経緯があるが、皇位継承の問題を正面から議論せずにきたことが、皇室の未来に不安を生じさせていることも忘れてはならない。
※週刊ポスト2025年9月19・26日号