1992年、ロシア共和国とウクライナ共和国の間で、その帰属が問題となっていた黒海艦隊の秘密基地(クリミア半島・セバストポリ)を「週刊ポスト」のために取材。西側ジャーナリストで初めて乗艦取材を行なった(撮影/山本皓一)

1992年、ロシア共和国とウクライナ共和国の間で、その帰属が問題となっていた黒海艦隊の秘密基地(クリミア半島・セバストポリ)を「週刊ポスト」のために取材。西側ジャーナリストで初めて乗艦取材を行なった(撮影/山本皓一)

 ロシアが2022年にウクライナへ侵攻して今も戦争が続いているが、落合氏が当時ウクライナ領だったクリミア半島を取材し、本誌・週刊ポストで〈落合信彦 黒海艦隊に乗り込む!〉と題したレポートを発表したのは1992年のことだ(同年5月22日号)。

 時はソ連崩壊直後。黒海艦隊の主要拠点であったセバストポリ海軍基地が位置するクリミア半島がウクライナ領になったことから、艦隊の帰属がロシアとウクライナの間で宙に浮くなか、落合氏は現地に乗り込んだ。

 取材に同行した報道写真家の山本皓一氏はこう振り返る。

「当初、落合氏と私は漁船をチャーターして釣りを装いながら黒海艦隊の様子を取材するつもりでしたが、遭遇したのはあまりに意外な光景でした。艦隊の隊員たちに警戒する様子はなく、そのまま乗船取材や撮影が許された。ソ連という巨大国家が崩壊したことで統制が大きく失われたことを現場で実感し、それを落合氏が週刊ポストで報じた。クリミア取材後は落合氏とそのままベルリンの壁が崩壊したドイツに飛び、ネオナチ勢力をインタビューした。冷戦崩壊の激動を伝えるため、世界を飛び回る時代でした」

 そして、歴史はめぐる。

 再びロシアの統制国家化を進めたプーチン大統領は、2014年にクリミアを併合。落合氏はプーチン氏について「戦争をしたくて仕方がない男だ」と評し、“自分が世界の覇者だとする危険な独裁者”だと警告した。

 クリミア併合の2年後の著書『そして、アメリカは消える』ではこう書いた。

〈プーチン大統領は、武力による現状変更を躊躇しない、冷戦時代の亡霊だ〉〈アメリカは大国としての存在感を失ってしまった。今後、世界は『第三次世界大戦』に突き進む可能性がある〉

 まさに、いま私たちが目の当たりにしている世界の姿ではないか。

 2000年にリニューアルされた『SAPIO』の連載は〈新世界大戦の時代〉と題された。「激動の世界の“一歩先”を読む」という連載のコンセプトそのままに、落合氏は未来を見通していたと言えよう。

第3回に続く

※週刊ポスト2026年2月20日号

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