ロバート氏の息子であるジョセフ・ケネディ氏からも証言を得た(1992年。撮影/太田真三)
ロバート・ケネディ氏から受けた至言
落合氏が暗殺事件の真相解明に情熱を注いだのは、ジョン・F・ケネディ大統領の弟であるロバート・ケネディ司法長官の選挙キャンペーンを手伝った経験があることも関係している。1968年の大統領選に出馬したロバート・ケネディ氏は選挙戦中に兄と同様に暗殺されたが、危険を警告する警察側に対して同氏が発した言葉を、落合氏は忘れられない至言だとした。
「命というものは、意味がある時に使って初めて価値があるのだ」──その言葉を受け、命を賭して世界を舞台に作家・ジャーナリスト活動を続けた落合氏の姿に刺激を受け、自らの進む道を決めたとする外交官や国際ジャーナリストも少なくない。
それは落合氏がいつの時代にも若者を鼓舞し続けたからだろう。
「牙を磨け、群れるな」
「孤独を恐れるな」
『狼たちへの伝言』をはじめとする落合氏の著作では、たびたびそうしたメッセージが綴られた。
〈他人と競争するのではない。自分自身と競争するのだ〉
〈つまらない知り合いをつくるくらいなら一人のほうがよい〉
〈人と違うことを恐れるな〉
落合氏の代表作『命の使い方』にある言葉だ。
2022年には、息子でメディアアーティストの落合陽一氏と、共著『予言された世界』を上梓。父・信彦氏は「世界はどちらに向かって動いていくのか。未来の世界で起こることは、その発端が現在始まっている。それを見極めることこそ、これからの大変革の時代に生き残るために必要なことなのだ」と語り、陽一氏は「未来はますます混沌としつつある現在、何を指針に生きていけばよいのか。戦争を含めた未来への警告を出し続けた父・落合信彦の視点、そしてこれからの時代を生きる私自身の視点から未来への指針を示していきたい」と綴った。
落合氏が生涯をかけて伝えた言葉は、陽一氏のみならず、読者であった多くの日本人の胸に刻まれている。
(第1回から読む)
※週刊ポスト2026年2月20日号
