芸能

紳助「マル暴メール」発覚は大阪府警汚職事件が発端だった

警察の「芸能界浄化」に向けた動きは暴排条例の全国完全施行を機にいよいよ激しくなっている。その幕開けとなった島田紳助(55)が引退を余儀なくされたメール。実はその流出の裏には、大阪府警の汚職事件が関係していた――。

「暴力団関係者の家の家宅捜索に当たっていた捜査員は、“なんや、これは!”と思わず絶句したそうです。なにしろ、押収した名簿には、自分たち4課の捜査員の名前のほか、自宅の住所まで書かれていたんやからね。自宅には、当然ながら、女房も子供もおります。ヘタしたら暴力団に狙われるかもしれんし、暴力団に脅される材料にもなるわけやから、驚くのも当然や」

大阪府警関係者はこう明かした。

この大阪府警を震撼させた情報流出が明らかになったのは、昨年5月のこと。住宅ローン会社から融資金をだまし取った疑いで、不動産会社の元役員と、共謀した山口組系I会の組長が府警捜査4課に逮捕された。元役員も元組員で、2006年に破門になったという。

この事件に絡んで元役員の関係先を家宅捜索したところ、押収した証拠品のなかから、マル暴担当の刑事の名簿が見つかったのである。府警内部の人間しか知り得ない情報の流出だけに、そのショックは大きかった。

「すぐに府警監査室も地方公務員法(守秘義務)違反容疑で捜査に乗り出し、浮かび上がったのが、大阪府警西淀川署の巡査部長だった」(同前)

この巡査部長は主に暴力団捜査を担当していた人物。巡査部長が元役員から現金を受け取って情報を漏らしていた疑いが出たため、今年4月下旬以降、捜査の中心は贈収賄事件を担当する捜査2課に移った。

「事情聴取によれば、巡査部長は2005年頃に元役員と知り合い、捜査情報や先の捜査員に関する名簿類、捜査車両の自動車登録情報などを伝えていた。1回あたり10万から数十万円の金を受け取り、総額は300万円以上にのぼるようだ」(前出・府警関係者)

だが、府警が驚愕したこの事件はさらに思わぬ展開を見せる。

「内偵捜査のために、暴力団担当の捜査資料や事件記録がごっそり捜査2課に移された。その捜査過程で出てきたのが、渡辺二郎と紳助のメールのやり取りや、紳助と暴力団関係者との関わりを示す資料だった。

調べたところ、逮捕されたI会組長と、紳助との交際が明らかになった組長が率いるK会の幹部が同じ族仲間で、仲良く連れ立って紳助の店にも出入りしていた。そこで2課の捜査員が、かつて吉本興業に籍を置いていた府警OBに、紳助とK会やI会の繋がりについてレクチャーを受けるために話を聞きにいった」(同前)

それを受け、府警OBは紳助の情報を吉本首脳に伝え、事態を重く見た吉本興業が自ら調査し、紳助の引退に至ったのだという。大阪府警は「捜査中につきお答えすべきことはない」(広報部)と回答するのみだが、露わになったのは、芸能人も警察官も暴力団と親密交際していたという、醜悪な事実だった。

※週刊ポスト2011年10月14日号

関連記事

トピックス

滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン