国際情報

中国 北朝鮮へのコメ支援の見返りに日本海沿岸の港を確保

『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が『今週のオピニオン』と題して、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する。3月2日に配信された5号では、櫻井よしこが登場。これから4回にわたって、「櫻井よしこの今週のオピニオン」を全文公開する。

 * * *
 日本の運命を決する最大の課題は、中国と正しい関係を結べるか否かの一点に尽きる。即ち、中国の脅威に正しく対処出来るか否かである。

 中国は全方位で影響力を強め、広げているが、二月上旬に明らかになった北朝鮮への接近はとりわけ巧みである。北朝鮮事情に詳しい人物の情報によると、中国は北朝鮮に百万トンのコメ支援を約束し、二月十日までに届けたという。そして見返りに、北朝鮮の日本海側の最北の港、羅津に新たな埠頭を建設し始め、租借する契約も結んだという。

 韓国の聯合ニュースは二月十五日、中国が羅津の四~六号埠頭の建設権と五〇年間の租借権を取得したことに加えて、投資規模は三〇億ドル(二三五六億円)だと報じた。

 この記事は、中国が北朝鮮と東北三省(遼寧、吉林、黒龍江)と羅津を擁する羅先地域の共同発展に向けた羅先特区基盤施設建設契約を、金正日総書記死去の前後に結んでいたと報じている。契約は二〇二〇年までに第一段階として羅津港に七万トン規模の四号埠頭、旅客機と貨物機の離着陸が可能な飛行場、吉林省図們と羅先を結ぶ鉄道を建設するという内容だとも報じた。羅津港の五、六号埠頭の建設は第一段階の工事終了後に始める計画だという。

 一方、日本の「朝日新聞」は二月十七日、中国は、コメに加えて重油五〇万トンの支援も約束した旨、報じた。

 羅津港は一九三〇年代初期に日本が作った港である。そこに中国はすでに〇五年に手を延ばし、同港の埠頭を六〇年間、租借した。租借は普通の賃貸ではない。租借権を得た国は、その土地、港、建物などを主権に基づいて活用出来る。中国は羅津の埠頭で統治権を行使出来るのであり、事実上、羅津港はこれから少なくとも半世紀の間、中国領同様に、中国によって活用されるという意味だ。

 〇五年時点で中国は史上初めて日本海への直接アクセスを手に入れたのであり、そのアクセスはさらに強化されつつある。眼前で進行中の事実は日本にとって、このうえなく深刻な脅威であるが、日本政府も私たち国民もこうしたことを明確に認識しているだろうか。

 中国のコメ百万トン支援は、金正恩体制の下で北朝鮮がさらに中国側に吸引されつつあることを示している。羅津港で中国が新たに得る三つの埠頭の租借権は、日本海への中国進出が拡大していることを示している。さらにいえば、羅津港を出てすぐ目の前にある佐渡島と新潟の双方に中国がより深く踏み込み、地歩を固めつつあるということだ。
(続く。次回は3月4日日曜日午前7時に公開予定)

※上記の記事全文は現在配信中の『メルマガNEWSポストセブン』5号で読めます。

『メルマガNEWSポストセブン』

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン