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NHK朝ドラ「あまちゃん」は「純と愛」より期待できると作家

「純と愛」に代わり、新しいNHK朝ドラがスタートした。宮藤官九郎氏脚本の「あまちゃん」は初回20%超えを果たし、好調なスタートをきった。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が新旧の作品を比較する。

 * * *
 ヤフーニュースの意識調査コーナー「クリックリサーチ」の中に、興味深い調査(進行中)があります。「夏菜主演のNHKの連続テレビ小説『純と愛』が2013年3月30日に最終回を迎えました。『純と愛』の満足度は100点満点で何点?」という意識調査です。

 回答期間は3月31日~4月11日まで。4月2日時点ですでに4万票を超える回答が寄せられています。もっとも多い点数は……なななんと! 「0点」という回答が、全体の19%も占めてトップ。その数は8千票超。これが、終わったばかりの朝ドラに対する視聴者の感想だとすれば、なんとも手厳しい。回答全体を見ても、その厳しさは際立つ。「30点以下」と評価した人が、半数以上を占めているような状態です。

「純と愛」といえば、「家政婦のミタ」を手がけて話題の脚本家・遊川和彦氏が、NHKの朝ドラに初挑戦した話題作。鳴り物入りで始まっただけに、この意識調査の結果をどう解釈すればよいのか。どう総括すればいいのか。

 少なくとも、NHKの制作陣に大きな問いと疑問が投げかけられたことは、たしかでしょう。もちろん他にもいろいろな意識調査や評価はあると思いますが、この数字もまた、一つの事実です。

 その「純と愛」に代わって、4月1日にスタートしたばかりの朝ドラが宮藤官九郎脚本の「あまちゃん」。東北・北三陸の田舎町と鉄道、海女さんという職業、海と高校生の女の子。放映第1回目のたった15分の中で、物語の骨格を浮き彫りに。これから半年をかけて「何を描こうとしているのか」というテーゼが、伝わってくる東北の映像でした。

「純と愛」の場合、前半はオオサキホテルをめぐる人物ドラマが構築されていましたが、途中から次々に起こる事件や出来事に寄りかかる、場当たり的な内容に。物語の骨格も着地もバラバラに解体されてしまった観がありました。それが、視聴者の意識調査で厳しい評価につながっているのかもしれません。

 対して「あまちゃん」は、物語の構造と着地点とがきちんと作者の手にグリップされている――そんな期待感を、抱かせてくれるのです。

 配役にもメリハリが。主人公は19歳の新人・能年玲奈。母親役に小泉今日子、海女の祖母役に宮本信子。とりまく海女さん陣に、渡辺えり、美保純、片桐はいり、木野花。個性派をズラリ並べたあたり、今後ボディブロウのように効いてきそうな気配。

 くだくだと説明的になりそうな場面の処理も、実にウマイ。鉄拳のアニメーションを挿入しクドカン色を出しつつ、ナレーションで全体像がわかる上手な処理をしています。

 放映第1回目の中に、「ドラマにあってほしい要素」が満たされていて、まずは納得。初回を見ただけで「あまちゃんワールド」はこんな国ですよ、という雰囲気が伝わってきました。「これから半年間、一緒に遊ぼうね」という作者の声が、画面のむこうから響いてくるようです。上々の滑り出しではないでしょうか。

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