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2013.09.09 16:00  週刊ポスト

高校野球大会の連投について金田正一と桑田真澄が激論交わす

 今年の夏の甲子園では、準決勝の前に初めて「休養日」が設けられ話題となった。休養日の設定は、連投を続けさせることで有望な選手の未来をつぶしているのではないか、という批判に応えた措置と言われている。

 400勝投手の金田正一氏と、小柄ながらPL学園、巨人と活躍し、現在は東京大学の硬式野球部で特別コーチもつとめる桑田真澄氏が、投手にとって多く投げることはよいのか否か、激論を交わした。

──現在の球界では「投手の肩は消耗品」という考え方から、「投げすぎると壊れる」といわれる。高校野球での連投も、かねてから批判の対象となっている。甲子園を制した者として、桑田氏はどう考えるのか。

桑田:高校野球は変えないといけないと思いますね。始まった当時のシステムが、未だに残っていますから。

 かつては学生野球の「上」、つまりプロがなく、極端にいえば甲子園で肩が壊れてもよかったんです。ボクだって高校で野球は終わりといわれたら、骨折しても突き指してでも投げますよ。でも今は大学や社会人、独立リーグにプロ野球、メジャーリーグまで子供たちの未来は広がっている。甲子園で壊れるわけにはいかないんです。もう少し大人たちが、子供たちの将来を考えた日程を組んであげないといけません。

金田:それで今年の夏の甲子園では、準々決勝の後に1日休みを作っただろう。ワシはこれで、「高校野球も終わりだ」と思ったね。批判を避けるために、お茶を濁しただけだ。高校野球というのは、連投、連投で各校が最後まで死力を尽くすからこそ、感動が生まれてきたんだ。それに1日ぽっち休んだところで、何かが変わるもんじゃない。

──金田氏は連投しても問題はないと?

金田:バカ者、ワシがどれだけ投げたと思っている(※5526.2投球回数は日本記録)。人間の体は、そう簡単には壊れやせんわい。

桑田:でも金田さん、ヒジが曲がっても腕が折れても投げようとする子は、今でもいるんですよ。それをメディアが煽って美談にしてしまうから良くない。そうやってダメになった選手を何人も見てきました。

金田:あれだけ甲子園で投げたお前自身は、壊れていないじゃないか。

桑田:僕は少しでも、体に違和感を覚えると投げませんでしたから。「根性無し」とか、「何サボってんねん」とかいわれましたけどね。理由は将来プロ野球選手になるため、壊れるわけにはいかなかったんです。だから予選の前には、1か月ノースローで過ごしたこともありました。

金田:甲子園の優勝はどうでも良かったのか。

桑田:そんなことありません、優勝は大事な目的でした。ノースローも優勝のためです。実際、1か月走り込んだことで肩の調子も良くなり、以前より良い投球ができるようになりました。

金田:よく監督が許したな。

桑田:普通なら「投げられない」といえば「もういらない」といわれる世界ですよね。だから言い出せなくて、ヒジや肩の爆弾が破裂してしまう選手が多い。PL学園の中村(順司)監督に理解していただいたのはありがたかったですね。

 すべては指導者の勝利至上主義が問題。よく「お前と心中だ」なんて話す指導者がいますが、本当に心中してくれる人なんていません。子供は壊れて終わり。監督がその後の人生の面倒を見てくれるかといえば、そうじゃない。だからちゃんと、壊れないように大人が子供たちの体を管理してあげなくてはなりません。

 もちろん勝利も大事ですが、学生野球では指導者の考え方を勝利至上主義から「人材育成主義」にシフトしていくことが必要です。

金田:ウ~ム、子供は確かにそうかもしれん。しかし最近は一人前のプロが、「肩は消耗品」とかぬかすだろう。愚の骨頂だよ。「100球肩」などといわれた江川(卓)の頃からだな、おかしくなったのは。最近は楽して金を稼ぐことしか考えない“野球ブローカー”が多くて哀しい。

 闘争本能をもって、ファンを魅了できるよう、登板したからには完全シャットアウトする気で投げないと。昔のピッチャーは皆完投してきたぞ。ワシだって1年で34試合、完投したんだからな。

桑田:僕は最高で完投が20試合ですから、やっぱりすごいですね。

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

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