国内

皇后美智子さま 首相が女性宮家創設を白紙に戻したことを憂慮

「理想の家族像につきましては、私は元気な、かつ明るく楽しい家族であってほしいと願っております」

 5月27日、出雲大社禰宜(ねぎ)・祭務部長を務める千家国麿(せんげくにまろ)さん(40才)とのご婚約を発表して会見に臨まれた高円宮家の次女・典子さま(25才)は、こうお気持ちを述べられた。

 この日、典子さまは母・久子さま(60才)とともに、天皇皇后両陛下にご挨拶された。両陛下は「このたびは、ご婚約おめでとう」と心から祝福されたという。

 皇室においての慶事は、2005年の黒田清子さん(45才)のご結婚以来、およそ9年ぶりということもあり、祝賀ムードが広がっているが、両陛下はお喜びの半面、“将来の皇室”について、憂いも抱かれていらっしゃるという。実際、冒頭の会見で典子さまも、

「両陛下からとても温かいお言葉を賜りましたけれども、両陛下のお気持ちを私の口から公表するということは、失礼に当たると思いますので、これは私の胸の内に大切にしまっておかせていただきます」

 と含みのある発言をされた。

 2008年12月、当時の羽毛田信吾宮内庁長官(72才)は、天皇陛下の健康状態が悪化していると発表。その要因について、こう明かした。

「皇統の問題からくるご心労」

 両陛下にとって皇統問題、さらに皇族の減少問題は、長年にわたるお悩みごとであった。

 女性皇族が皇籍を離れれば、皇族の数が少数となり、皇室全体の活動に支障が出ると、“将来の皇室”を案じられていた両陛下だが、「女性宮家創設」の議論が高まると、側近に安堵の表情を見せられたという。

「美智子さまも親しい知人に“いろいろありましたけど、たくさんのかたがたの努力のお陰があって、少しずつ動き始めているようです。これで、私たちの気持ちも、少し楽になりました”と胸の内を吐露されたそうです。両陛下にとって女性宮家創設は、将来の皇室を考える上で大きな意味をもつものとお考えだったに違いありません」(宮内庁関係者)

 有識者へのヒアリングを経て2012年10月、政府は「皇位継承権には踏み込まず、愛子さま、眞子さま、佳子さまの内親王に限定した一代限りの女性宮家創設を検討する」という皇室典範改正へ向けた論点整理を発表した。

 しかしその後、両陛下に衝撃を与える出来事が…。

《皇位継承は男系男子という私の方針は変わらない。野田政権でやったことは白紙にする》

 2012年12月、2度目の総理就任を果たしたばかりの安倍首相が新聞のインタビューでこんな発言をする。1年2か月にわたり、野田政権が取り組んだ女性宮家創設に「NO」を突きつけたのだ。

「女性宮家を認めてしまえば将来、女系天皇が誕生する可能性も高い」というのが白紙に戻した理由だった。

 そして両陛下が心を痛められている“皇族の減少”への対策については、

《この状況の中で戦後、皇籍離脱した十一宮の中から、適当と思われる方に皇籍に復帰していただくことも検討してもいいと思います》

《すでに国民に広く親しまれている三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある》

 と、どこか現実味を帯びない内容に終始するのみで、両陛下のお気持ちはないがしろにされたままだった。

 それから1年半の歳月が経ったが、いまだ安倍政権が皇室典範改正に着手する動きは見られない。そんななか、発表された典子さまのご婚約。

「もちろん典子さまは女王で内親王ではありませんから、野田政権が2012年10月に示した女性宮家の対象とはなりませんが、美智子さまとしては、典子さまが皇室を離れるお姿を間近でご覧になることで、将来の皇室への憂慮をさらに深められたと思います。これからひとり、またひとりとご結婚で皇室を離れていかれるわけですから」(宮内庁関係者)

 皇室ジャーナリスト・神田秀一氏もこう警鐘を鳴らす。

「これから10年間に、次々とご結婚される女性皇族が出てくると思います。愛子さま、眞子さま、佳子さまも皇室典範の改正が行われなければ、みなさま、典子さまと同じように皇室を出られるわけですから。本当に皇居に悠仁さまがひとりぼっちになってしまうという可能性があるわけです。だから一刻も早く、皇室典範改正の議論を再燃させなくてはなりません」

※女性セブン2014年6月19日号

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン