スポーツ

野球で強い宗教校 創価は全員信者ではなく智弁も宗教色薄い

 連日熱戦が続いた春のセンバツ高校野球。実は甲子園の盛り上がりと切っても切れないのが「宗教」である。複数回の優勝経験を持つ天理、智弁和歌山、PL学園など、強豪校には宗教団体を母体とする高校が少なくない。

 1998年春にPL学園が2回戦で対戦したのは創価高校だった(試合はこの大会でベスト4のPLが9-0で勝利)。

 新宗教の中でも最大規模を誇る創価学会。名誉会長である池田大作が設立したのが、東京の創価高校と、大阪の関西創価である(運営は両校とも学校法人・創価学園)。

 両校共に全校生徒が1075人の大所帯で、甲子園には前者が8回、後者が1回出場している。系列の創価大学も含めれば、多くの人材をプロ野球界に送り、一大派閥を築いている。

 さぞや母体である創価学会と不離一体の関係があるのだろうと思いきや、関西創価の総務企画課の担当者はこういう。

「我々は宗教学校ではありませんので、教えを生徒に講じる授業というのは特段ありませんし、生徒全員が信者というわけでもありません」

 甲子園に出場した際にはアルプスが学会カラーの青・黄・赤に染まり、ブラスバンドが山本リンダの『狙いうち』を演奏する。夏の甲子園に初出場した1983年の『聖教グラフ』(8月17日号)には部員が池田に甲子園出場を報告する様子が掲載された。教団との関係はやはり強い。創価学園の広報担当に聞くと、次のようにコメントした。

「様々な部活動に対して日頃より創立者はじめみなさんから心強い応援、激励を頂戴しております」

 2002年夏の3回戦では辯天宗を母体とする奈良・智弁学園と智弁和歌山による兄弟校対決が実現した(智弁和歌山が勝利し、この大会で準優勝)。辯天宗は、宗祖智辯が1934年に天啓を受け、1952年に立宗された新宗教だ。

 両校はクリーム地に朱色で「智辯」と書かれたユニフォームが特徴だが、もともと紫を使ったものだったという。智弁和歌山の監督・高嶋仁が振り返る。

「私が奈良の智弁学園の監督になったばかりの頃に、藤田照清前理事長のご意向で変更しました。やはり高校野球で紫といえば天理ですから。智弁の『C』の人文字もPLに倣ってのことでしたが、野球におけるライバル意識だけで、宗教団体としての対抗意識はありません」

 智弁学園に宗教色は薄い。

「昔は打席に入る時に、手首につけた念珠を触るような選手もいましたが、今では危険だということで禁止されています。私も信者ではありませんし、生徒もほとんどが違います」(同前)

●柳川悠二(ノンフィクションライター)と本誌取材班 (文中敬称略)

※週刊ポスト2015年4月10日号

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン