なべ:たけしさんって、賭け事をやらないんです。賭け事で当たる運もあれば、芸事の世界で当たる運もあって、運の量は決まっているから賭け事はやらないんだ、と言っていたのに、こっそり「馬券を買ってこい」って言われたんです。誰にも言うなよって。お金をもらって買いに行くときに、軍団の楽屋も通るので、「どこに行くんだ」と聞かれまして。「絶対に言うなと言われたんですけど、殿が馬券を買うんです」「どれどれ何番?」って。
買ってきた馬券をたけしさんに渡したあと、たけしさんも含めて、軍団のいる楽屋で競馬中継を見ていたんです。みんな馬券を買ってるのはわかってるけど、黙ってるんです。テレビで、「それではゲートが開きます」って、馬が出た途端に、たけしさんが買った馬の騎手が落馬したんです。みんなが「あーっ!!」って指さして笑うから。ぼくがバラしたことがバレて、「おまえ、言うなって言っただろ!!」って。
――たけしさんに感謝していることはいっぱいあるでしょうね。去年のなべさんの結婚式では、たけしさんが祝辞を読んでいましたね。
なべ:『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の最終回でもやったような、「STAP細胞の実験をやめてここにやってきました」「ゴーストライターにお金を払っていないので、この先の文章はありません」「身長差のあるカップルというと、(矢口真里とかけて)不倫をしたカップルしか思い浮かびません」とか、そういう文章ですね(笑い)。妻はぼくより10cm身長が高いので。
――パワーリフティングで活躍したときにも、たけしさんは喜んだそうですね。
なべ:世界大会に行ったときの写真を見せたら、大喜びでした。というのは、ぼくは52キロ級のクラスなんですけど、52キロ級のチャンピオンクラスは、白雪姫の7 人の小人のような、猫ひろしのような身長なんです。ぼくが3位で表彰台に立つと、ぼくがいちばん高いんですよ。表彰台に立つ1位の人より、ぼくのほうが頭ひとつ出てるわけです。
そんな選手ばっかりの写真を見せたら、そういうのがたけしさんは大好きなので、大喜びでした。「この写真を大きく焼いてくれ」って言われて、額に入れてプレゼントしました。それをスタジオ中走り回って、音声さんとか大道具さんとか、普段喋ったことがないスタッフにまで見せて回っていて、あんなたけしさんの姿は見たことがないですね(笑い)。
【なべやかん】
1970年8月22日生まれ。東京出身。1991年、父でタレントのなべおさみが、明治大学に替え玉受験で入学させようとして騒動に。父の芸名と明大二部(夜間)に引っかけた芸名で、たけし軍団に加入し、芸能界入り。元パワーリフティングの選手で、『全日本パワーリフティング選手権大会』2001年、2002年優勝。収集歴30年以上の特撮物キャラクターコレクターでもある。『なべやかんのJスマイルライフ』(エフエム茶笛)や『武蔵忍法伝 忍者烈風』(東京MX2)などにレビュラー出演中。