豪雨災害で流失した橋脚。2013年撮影。


 ともと、名松線は1日に700人程度の利用者しかいない。沿線の過疎化が進み、マイカーが普及した現在では、名松線の利用者が増える見込みは薄い。全線を復旧させても赤字が増えるだけだ。それゆえに、名松線はそのまま廃線になってバスに転換されるとの予測も流れた。

 しかし、三重県や津市は鉄道での復旧にこだわった。自治体が土砂撤去や盛土、線路・電気設備などの費用を負担。JR東海も4.6億円を捻出した。こうして、名松線は蘇ったのだ。

「JR東海でも、当初、鉄道の安全を確保する前提となる治山治水対策は難しいのではないかという認識に基づき、バスへ移行することが最良と考えて提案をしました。その後、自治体との話し合いで、復旧の前提となる治山事業、水路整備事業とその維持管理を自治体側で実施していただけることになり、2011年5月に三重県・津市および当社の3者で鉄道の運行再開等に関する協定を締結し、復旧することになったのです」(JR東海広報部)

 三重県や津市の熱意がJR東海を動かし、名松線を復活させた。JR東海は地元の熱意に応えるべく、全線が復活する3月26日にはヘッドマークをとりつけた記念列車を運行する。

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