国内

日清カップヌードルCM放映中止 私たちは何に落胆すべきか

「CM流すの止めますわ!」(Syda Productions / PIXTA)

「日清カップヌードル」のCMが抗議によって放送中止になった。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が騒動から考える。

 * * *
 いやはや、日清食品にはガッカリです。批判が多かったからあわてて放送中止にしたのか、最初から「たぶん批判されるだろうけど、そのときは放送中止にすればいいよ。そこでまた話題になっておいしいから」と予定調和な炎上商法だったのか、どちらにせよ今回はガッカリさせられました。

 おっと、勢いよくガッカリしすぎて、いきなり本題に入ってすいません。3月30日からカップヌードルの新CM「OBAKA’s UNIVERSITY」シリーズ第1弾がスタートし、けっこうあちこちで「面白い」「大胆」と評判になっていたんですが、批判の声があったということで4月8日に放送中止が発表されました。

 銅像みたいなビートたけしが学長役で、矢口真里、小林幸子、新垣隆氏、ムツゴロウさんといった「いわくのある人」たちが先生役を務めて、自虐ネタを繰り出してくれるアレです。CMがスタートするとき、日清食品は企画意図をこうぶち上げました。

〈現代のSNS時代は、非寛容な時代と言えます。挑戦すれば、揶揄される。失敗すれば、叩かれる。このままでは、みんながちぢこまり、だれも挑戦しなくなってしまう。〉

〈人間は誰だって、一度や二度の失敗はする。「何かに夢中になって、バカになる力」「た­とえ失敗をしても、這い上がる力」いま求められるこの2つの力を、説教くさくなく、カ­ップヌードルらしいユーモアでメッセージしたい、と考えました。〉

 たいへん素晴らしい! 全面的に同意するし、明らかに物議を醸すCMを作ることで身を持って挑戦する大切さを示してくれた日清食品に、心から敬意を表したいと思います。いや、思っていました。CMを放送中止にするまでは。

 しかし、結局は他人の失敗を許したくない人たちの非寛容な声にちぢこまって、こういう残念な展開になりました。皮肉なものです。批判が集まったのは、どうやら矢口真里を起用したことに対して。「危機管理の権威」の准教授として登場し、教壇から「二兎を追うものは一兎をも得ず」と学生に教えるという設定で、いわば自身の不倫スキャンダルをネタにしているところも、批判する側に大義名分を与えてしまったようです。

 最初からある程度の批判は覚悟していたはずですが、このところの不倫スキャンダルブームの影響で風当たりが予想以上に強かったのでしょうか。狙いは勇ましかっただけに、批判の声が上がっても「いや、中止にはしません」と毅然とはねつけてくれたら、さらに評価が上がったことでしょう。

 あるいは、批判が来て放送を中止して、それがまた話題になるまでをハナから織り込んだ企画……ってことはないですよね。狙いではないにせよ、心のどこかで「そうなったらそうなったで」と思っていたとしたら、出演したタレントさんにしてみればいい面の皮です。イメージダウンの被害を被るのは、もっぱら出演者のほうですから。

関連記事

トピックス

米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン
迷惑行為を行った、自称新入生のアビゲイル・ルッツ(Instagramより)
《注目を浴びて有料サイトに誘導》米ルイジアナ州立大スタジアムで起きた“半裸女”騒動…観客の「暴走」一部始終がSNSで拡散され物議に
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《異なる形の突起物を備えた光沢感あるグローブも…》10代少女らが被害に遭った「エプスタイン事件」公開された新たな写真が示唆する“加害の痕跡”
NEWSポストセブン
「みどりの『わ』交流のつどい」に出席された秋篠宮家の次女、佳子さま(2025年12月15日、撮影/JMPA)
佳子さま、“ヘビロテ”する6万9300円ワンピース 白いジャケットからリボンをのぞかせたフェミニンな装い
NEWSポストセブン
オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン