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囲碁七冠の井山裕太「アルファ碁で衝撃受けた手はなかった」

七冠達成から3日後に囲碁殿堂資料館にて

 この3月、世界で3本の指に入るといわれる囲碁棋士・韓国のイ・セドル九段を4勝1敗で破った、いま注目の人工知能「アルファ碁」。この人工知能について、囲碁界で前人未踏の七冠制覇を成し遂げた井山裕太(26)はこう言及する。

「それほど衝撃を受けた手はなかったですね。つまりそこまで自分の感覚とずれや違和感がないということ。人工知能だからではなく、強いから打ってみたい。それは世界戦も同じです」

 碁盤を離れればスポーツ観戦が好きな、ごく普通の26歳だ。子供の頃は相撲が大好きで、漢字も読めないのに四股名は全部覚えた。野球はイチローのファン。そして今一番ハマっていると話すのがボクシングだ。

「使えるのが拳だけというのがいいですね。衛星放送の番組を録画して、欠かさず見ています。テニスの錦織圭選手や体操の内村航平選手が世界と戦っている姿にも共感を覚えます」

 同い年生まれの選手の活躍に自分を照らし合わせているのだろう。

 お酒も好きだ。「碁に負けると1人になりたくない」という井山は若手棋士を誘って飲みに行く。「明るいお酒で、時々若手をいじっています」とは、親友でもある村川大介八段(25)の証言だ。だが本人は「記憶にございません(笑い)」。

 仲間とのぶっちゃけ話になると口数が減る井山だが「『公の場の井山裕太は普段の井山裕太じゃない』といわれますね」と笑う。先輩棋士と戦う機会が多かった井山にとって、仲間との時間が素に戻れる瞬間なのだろう。

 普段の生活は地味だ。昨年まで5年連続賞金ランキング1位。その間だけでも約7億円を稼いだが、贅沢といえばスーツをオーダーメイドする程度。腕時計は棋戦の副賞だ。

 そんな井山に、ファンが七冠の次に託す夢は世界。「世界で一番強くなること」が井山の大目標だ。だがこの26歳の天才棋士には、勝ち負けを超越した別な夢があるような気がしてならない。井山の強さをよく知る、元棋聖の小林覚九段(57)のこんな声がある。

「彼が目指すのは勝利ではない。自分の碁を打つことだけを心がけている。これは誰にでもできることじゃない」

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