寺島:映画『有頂天ホテル』にキャスティングされたのが初めて。その時は会話がなかったんですけど、映画『ザ・マジックアワー』で打ち解けて、メールと電話番号を交換しました。
――出浦に対して、要望はありますか?
寺島:あまり長台詞はやめて欲しい。覚えるのが面倒だからじゃないですよ(笑い)、寡黙でいたいんです。多分わかってると思うんだけどね。
――役作りで大切にされた点は?
寺島:能の芝居にヒントを得ました。能面って表情が変わらないじゃないですか。でもシチュエーションによって、喜怒哀楽をお客さんが感じる。出浦もなるべく、表情を崩さないように心掛けています。
――出浦は主従関係にある昌幸のどのようなところに惚れているのですか?
寺島:男が男に惚れる瞬間に理屈はないし、多くを語らず、阿吽で感じあえるというか。たとえば、昔の任侠映画は、兄貴分や親分に命捧げちゃうわけでしょ。忠誠心が強いほど。
戦国時代を想像すると、仲間だろうがなんだろうが、裏切り合っていたと思うんですよね。そんなドロドロした中で、2人の関係は、簡単に崩れないであろう信頼関係があると思います。
――出浦は忍者の頭領ですが、あまり知名度のない武将ですね。
寺島:三谷さんと「出浦昌相は無名なんだけど、ぼくと寺島くんとで、頑張って有名にしよう」と誓った原点があります。佐助はもう全国区に知られているアイドルみたいなもの。でも出浦は、自分の役者人生に重なる部分があるんです。
自分は剣友会で斬られ役をしながら、小さい役からだんだん大きい役をいただいて、役の名前と顔が一致するようになってきつつある。そういう発展途上なので、そこが出浦と重なります。「寺島進と出浦昌相の知名度をあげよう」という一心で頑張っています(笑い)。
――時代劇の歴史の中、出浦を演じたのは、寺島さんが初かもしれない。
寺島:そうですね。出浦昌相は寺島進が元祖なので、次に出浦昌相をやる人たちは二番煎じ。みんなぼくを参考にするでしょうね(笑い)。
――出浦が着ていた、赤い羽の衣装が印象的。
寺島:モチベーションが上がりますね。着物自体が帯締めるとピッとなるんですけど、着物を着た後に羽織を締めると、出浦昌相になったぞ、というような気にさせてくれるので。赤って燃えるんですよね。自分、勝負パンツ赤ですもん。関係ないか(笑い)。
――出浦の反響は感じますか?
寺島:『真田丸』の放送を家族で見るんですけど、上さんと娘が「カッコイイ」と言ってくれるのが、すごく自信になりますね。子供は正直なので、情けないコスチュームを着たりする役は、「なにやってるの父さん」と言われるので。
――出浦という役は、キャリアの中でも大きなものになりそう?