直近での成功例と言えば高島礼子だろう。夫(当時)が覚せい剤所持の疑いで逮捕されたことを受け、囲み取材を行ったのである。黒のシンプルなワンピースにグレーの派織物という地味な装いで、そう長くはない髪を後ろで一つに結び、ほぼノーメイクで出てきた高島。山口達也同様、質問には制限なしで、マイクを持ったリポーターが彼女の周りを囲むスタイルだった。
山口も高島も、おめでたい報告ではないので、スタッフの中には「囲みじゃなくてもよいのではないか」という意見もあったのではないだろうか。
つまり、会見する側が登壇し、リポーターや記者と向かいあって座るスタイルだ。最近では、妻の小林麻央の病状を説明した市川海老蔵がこの対面式の会見を選んだことが記憶に新しい。
ベテランリポーター曰く、「対面式の場合は、話す側と聞く側が離れている分、やはり、その距離に比例して、距離を感じてしまう結果になる」とのことである。
だが、息遣いや、ちょっとした表情の変化、額の汗の有無などが“語る”囲み取材は、相手の気持ちもよく伝わってくるし、「囲み取材というスタイルを選択してくれた時点で、信頼関係が生まれる」(同リポーター)というのである。
ところで、今年、リポーターたちが一斉に「もっともダメな会見だった」とあげるのが不倫騒動で話題をかっさらったベッキーの最初の会見だ。
不倫を報じた週刊誌が発売される前夜と、素早くマスコミ対応したところまではよかったのだが、囲みではなく、彼女が一人でカメラの前に立つスタイル。しかも質問は受け付けず、一方的に喋り倒したのだった。
リポーターの多くから「誰に対して謝ってたのかわからない」「ファンを無視してスポンサーのほうだけを向いていた」などと厳しい意見が出たり、不倫を否定するのにウェディングシューズを履いて出てきたことも面白おかしく報じられたりした。何より、会見で嘘を吐いていたことがすぐにわかり、彼女はすべてのレギュラー番組を休むこととなった。
「その次にダメだった会見」というのはまたしてもベッキーで、彼女がBSのレギュラー音楽番組に復帰する前に行ったものだという。
今度は「一社一問」という“制限”付きで、時間も「本番前」ということで限られていたことに、「ベッキーの事務所はホントに対応が下手」と所属事務所への批判的意見もあがるようになってしまった。
その二大失敗会見を受けたからだろうか。不倫のレベルとしてはベッキーの上をいっていたファンキー加藤の対応は本当に早かったし、“囲み”で“制限なし”だった。しかも、彼が包み隠さず話したことは高く評価され、謹慎期間ゼロと相成った。件の三遊亭円楽も同様で、涙あり、笑いあり、なぞかけありの内容は、「さすがだ」と言われた。
他にも囲み会見では、聞かれたくない質問が飛んだ途端にスタッフが飛んできて静止するケースや、トレンドとしてはBGMが急に大音量となり、リポーターや記者からの“声かけ”さえ一切聞こえなくなるケースも…。一頃、米倉涼子が出て来るイベントは毎回このパターンだった。
最後に山口達也の話に戻すと、リオ五輪開幕前日を会見日に選んだことも大正解だったのではないか。当日午後のワイドショーの生放送と夕方ニュースのエンタメコーナーではオンエアされたが、週明けのワイドショーでは、それほど長尺では取り上げられないように思う。
会見○と×で、出てきた芸能人の“その後”は本当に大きく変わってしまうものなのである。