象徴的だったのが7月19日。「東京都知事選挙選」のテーマで、主要3候補者をズラリとスタジオに並ばせ、坂上氏が司会をして激論。昼のバラエティ番組では異色の試みでした。
鳥越俊太郎氏が、小池百合子氏の「病み上がり」という言葉を問題にしたのもこの時。
「がんサバイバーに対する大変な差別ですよ」と鳥越氏が一気にまくし立てた。気色ばんだ小池氏、「記憶にない」とあわてて否定。
すると鳥越氏が、発言を示す根拠を示しながら激高。「がんサバイバーという人は、何十万、何百万といるんですよ、『1回がんになったら、あなたはもう何もできないんだ』と決めつけるとは」。小池氏「そんな趣旨のことは言っていない」と反論。スタジオが凍り付き、ビビビっと緊張感が走りました。
他の報道番組でもなかなか見られないこうした生激論は、選挙に対する貴重な情報提供になった。何といっても候補者の人間性、ひととなり、というものが画面に思い切り露出していたから。
そうしたリアルを引き出す根源の一つが、坂上氏の質問力でしょう。「予定調和ではない」問いかけを発する力。
『朝まで生テレビ!』の司会・田原総一朗氏は「生放送では何が起こるか分からないというところに視聴者が共感してくれている」と語っていましたが、その意味で、坂上氏は田原氏に通じる点があるのでは。
『バイキング』は「朝生」ならぬ「昼生」。注目を浴びてさらに人気番組になったとしても、そのリアルな迫力だけは失わないで欲しい。丸くならないで欲しい。生放送という媒体において、リアルが垣間見える瞬間をこそ、視聴者は待っているのですから。