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広島・苑田スカウト 無名の黒田博樹を見出した日を振り返る

「並のピッチャーなら、前の打席でインコースを打たれたバッターに対して、次の打席はアウトコースで勝負することが多い。でも黒田は絶対に逃げずに同じコースで勝負に行った。『打てるものなら打ってみろ!』という気概のある投手は、プロでも絶対に成功する」

 苑田は黒田の他にも、金本知憲、江藤智、大竹寛など多くの名選手のスカウトに成功してきた。ただ、その一方では苦い経験もある。実は岩隈久志(シアトル・マリナーズ投手)を指名直前で他球団にさらわれていた。

「堀越高時代の岩隈は、まだ無名だったけれどスケールの大きさを感じさせるピッチャーだった。学校に確認したら『プロのスカウトはどこも来ていない』と。すぐにオーナーに直談判して、順位は最後だけれど指名OKの許可を取った。ところが近鉄に5位で指名されて……。あの時は悔しかったなァ」

◆そのだ・としひこ/1945年、福岡県生まれ。1964年、三池工高卒業後に広島カープに入団。当初は外野手だったが、山本浩二の入団に伴い内野手へ転向。以降は、どこでも守れるスーパーサブとしてチームに貢献した。1977年の現役引退後は、スカウトとして球団に残り、のちに球団の顔となる名選手を多数発掘する。2006年にスカウト部長に就任。現在はスカウト統括部長を務める。

撮影■藤岡雅樹 取材・文■田中周治

※週刊ポスト2016年9月30日号

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