「巨人にはそもそも、選手を育てる力がないんですから、FAや助っ人に頼るしかないでしょう。球団としては、若い選手を3年、4年かけてファームで育てるのが理想ですが、巨人にはそれができるコーチもいないんだから。
巨人に限らず、ドラフトで獲った若い選手を自分のところで鍛えて育てる能力がないチームは、そのことを自覚するべきです。育てられないなら、金を出して力のある選手を引っ張ってくるしかない。巨人はやろうと思えばそれができるわけだから、批判も覚悟の上で、どんどん“巨人らしさ”を出せばいいじゃないですか」
FA宣言した選手を獲得する上では人数制限や年俸制限など様々な制約があるが、「新しいルール導入を強引に主導してもいい」と江本氏は語る。
「それだって話題作りの一環になるでしょう。チームを強くするためなら、2年連続トリプル・スリーの山田哲人(24、ヤクルト)や、ソフトバンクの柳田悠岐(27)、場合によっては大谷翔平(22、日ハム)を強引に獲りに行くくらいの気合いでいけばいいじゃない。今までだって、そうやって強くなってきたんですから」
一方のヨネスケ氏は、またぞろ出てきた「欲しい欲しい病」の兆候に、ちょっと寂しそうな様子だ。
「若手が出てこないから、今の巨人はベテランと中堅の寄せ集めで戦っている状態です。かといって、ヨシノブ監督にはFAや外国人で“勝つだけ”の野球はしてもらいたくない。5年間は我慢するので、何としても若手を育てハエヌキ選手で優勝を勝ち取ってもらいたい。三浦大輔(42)がファンに引退を惜しまれるのは横浜一筋で投げ抜いたからだし、広島の街がここまで盛り上がっているのも、ハエヌキの選手が活躍したからでしょう」
巨人の補強戦略を案じるヨネスケ氏は、そういって唇を噛む。果たして巨人はこのオフ、いかなるかたちで戦力強化を図るのか。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年10月7日号